The fate episode
一人目の騎空士
進行度 3/3
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いかないんでな」
振り返れば、バザラガ此方に近づいてきていた。
「話を聞く限りだが、ソフィアが悪かっただろう。だがな。それではいそうですかと終わるのが騎空団ではないのだ」
私は肩を竦める。
「で、しょうね」
「それでだ、グラン。俺からの個人的な依頼だ。ソフィアとシルヴァを生きた状態で帰還させて欲しい。報酬は言い値で払おう」
「貴方が行けばいいんじゃないですか?」
「艇には最低限の戦力を残さなくてはならない」
私は先より笑みを濃くする。バザラガとやら、本当に心労が多い人生を過ごしていそうだ。
「お金以外も要求しますよ。そして、私は報酬の為に如何な手段でも講じます」
「……契約成立だ。早急に依頼を遂行してくれ」
返事を返さず、私は艇から舷梯を使わず飛び降りて地面に着地し、シルヴァが消えていった方へ走る。数十秒走ったところで、銃声が聞こえた。すぐさまその地点に向かうと、開けた丘にシルヴァが伏射姿勢でいた。銃が向いているのは五百米程先の草原。そこにいるのはソフィアと三体の魔族。どれも中々の強敵だ。
「距離を詰める、手伝え」
此方が追いかけてきた事への発言よりもソフィアを助けることが重要なのだろう、シルヴァは一切の疑問を挟まず命令をかけてくる。
「狙撃は」
「当たらん」
「俺がやる」
「無茶だ」
私はこれ以上言葉を重ねず、シルヴァの腕を無理やり銃から引き剥がすとその体を思い切り横へ投げ飛ばした。
シルヴァが体勢を立て直す前に、長銃を構える。遊底を後退させ排莢し続けて傍に置かれていた弾丸を装填し狙撃眼鏡を覗く。狙撃眼鏡越しに見るソフィアの身長がこの程度という事は倍率は十二倍前後か。先程見た弾薬では、銃口初速は凡そ秒速九百米程だったはずだ。弾着まで秒にも満たぬがそれでも偏差は大きすぎる。
「下の二本目で丁度だ。風はない」
シルヴァが此方の意図を察し助言してくれる。
「耳塞げ」
シルヴァに注意を促すと私は軽く息を吸い込み、止めた。左右の目を開いたまま右目の視界に意識を集中させる。シルヴァが言った二本目の狙点を魔族の頭部に合わせ、引き金を絞る。著しい爆音と反動が体を襲うが、構うことなんてない。
シルヴァに肩を叩かれる。何事かと視線を向ければ新しい弾丸を此方に差し出してきていた。話がわかる女で本当に良かった。
遊底を後退、薬莢排出。次弾を手で込め遊底を前進。狙撃眼鏡を覗き込めば、先程標的にした魔族は地に伏しており、他二体は発砲音がした此方へ移動を開始していた。既にソフィアには興味をなくしたようだ。
引き金を絞る。排莢、装填。もう一度狙撃姿勢を取る。片方の魔族は右腕を負傷。なれど進撃止まらず。もう片方も此方へ進撃中。彼我距離三百米。
もう一度狙撃。排莢、装填。残りは一体。彼我距離五十米。――発砲。最後
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