The fate episode
一人目の騎空士
進行度 3/3
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て来たんです。団長さん達はまだ帰ってこないし、最低限の団員しか艇にいませんしでどうしたものかと」
帰って早々、ソフィアが私たちに近寄ってきてまくし立てる。
「依頼は受けるな。私は万全の状態ではない」
きっぱりとシルヴァは言い切った。懸命な判断だ。この場で彼女以外が動けず、そうして彼女自身が万全でないとすれば動かないのが道理である。
ソフィアはシルヴァに断られてしまったので私を見る。私は目線を逸らさず彼女に言葉を放つ。
「この島人からの依頼であれば全て断ってください。この島は異常です」
「何言ってるんですか、犠牲者が出てしまいますよ」
私はため息を吐く。その、怒気さえ孕んだ音にソフィアも、ククルも此方を注目した。
「この島人は騎空士に依頼を出すが報酬を踏み逃げするような奴らの集まりです。ならば一度、助けられないという恐怖を与えたほうが事は容易い」
「人命が第一です」
「じゃあ貴方が行けばいい」
そう答えれば、ソフィアは臆した。正直な話、少し苛立つ。他人に死地に立てと強要する癖に死線を潜る度胸もないのか。
「分かりました。私が行きます!」
そう言ってソフィアは私達を押しのけ、騎空艇から降りていく。飛んだ莫迦だ。その判断がミスだったと気づくのは死ぬ間際だというのに。
傍に立つシルヴァは盛大に溜息を吐く。こうなる事を危惧していたのだろうか。
「ソフィアを死なせたとなると大問題だな。私が彼女を追おう。二人は残っていろ」
シルヴァはそう言うとソフィアを追いかけて行く。残ったのは私とククル。
「取り敢えず待っていましょうか」
「ちょ、ちょっと待って。何であんな事を言ったの?」
食堂に向かおうとした私の肩をククルが慌てて掴んで止める。
「一、シルヴァさんは万全ではなかったから。二、私はこの団の人間ではないので依頼をこせないから。三、そもそもこの依頼主は報酬を払う気がないから。さて、どれが正解でしょう」
冗談めかして指を立てながらククルに問いかければ、彼女は困惑しながらも小声で言葉を返す。
「どれも、問題になるような事ではないでしょ……?」
「笑わせんなよ。狙撃手が指を怪我して狙撃が出来るかよ。何で外部の人間が騎空団の看板背負って仕事すんだよ。何で報酬もねえのに人様命がけで守るんだよ。ソフィアは報酬がないことを知ってた。バザラガから聞いたんだろう。あいつはシルヴァに団に全く関係ない私事で死ぬかもしれないような戦いしてくださいって抜かしたんだぞ?」
ククルに詰め寄れば、彼女はいやいやと首を振る。
「違う、そんなつもりで言ってたんじゃないと思う」
「つもりじゃなかったか。そうか」
口角を上げて笑みを作る。それだけで、ククルは怯えた。
「まあ待とうぜ、どうせ返ってくる時は棺桶だ」
「そういうわけには、
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