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二人の騎空士
The fate episode
一人目の騎空士
進行度 2/3
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 そうってバザラガが先に立ち、私はおとなしくそれに連なった。
「まず初めにだが、これから向かう居住区画では武器を生身、もしくはすぐに抜刀できる状態にしてはいけないんだ」
 そう言ってバザラガは食堂入口に置かれていた紐を私に手渡すと、傍に置かれていた大きな鞘を自身の大鎌に着け、それが簡単に外れないように紐で固定した。
「本当は騎空艇に戻ってすぐにやったほうがいいんだが、今回は説明という事だな」
 本当は、私が何か変な動きをしないか警戒していた、だろう。
 私はおとなしく、渡された紐で鞘と柄を固く縛り固定した。
 バザラガに続いて暫く歩くと、ある部屋の前でバザラガは立ち止まり三度扉を叩いた。ここがシルヴァとやらの部屋か。
「シルヴァ、今いいか」
「いま出る」
 そう言って扉を開けて出てきたのは妙齢の女性だった。
「いい人材を見つけて誘ったんだが、今は団長達がいなくてな。取り敢えずということで見てもらおうかと」
 シルヴァはバザラガから視線を移し、私を眺めた。非常に鋭い目だ。弓兵か狙撃兵だろうか。
「バザラガがスカウト、とは珍しい」
「ベアトリクスもだ」
「そういえば今日の依頼は二人だったか。となると組織の人間か」
「いいや、違う」
 シルヴァは今度は此方の剣の鞘をよく眺めた。なんで武器を見るのだろうか。
「独特な反りがあるが見た目は普通の剣だな。となると余程腕が立つと見える。どの団から引っこ抜いたんだ」
「何処のってことはない。取り敢えずは話をこいつとして欲しい」
 バザラガの言葉にシルヴァは僅かに表情を歪ませる。
「いま作業中なんだが、それでも良ければ」
「宜しく頼む」
 そう言ってバザラガは去っていく。結構強引な人だな、あの人も。
「しょうがない、入ってくれ。名は」
「グランと言います」
「私はシルヴァだ。それでそこのが」
 通された部屋には他に一人の少女が居た。少女は床に敷かれた布の上に広がる銃の部品を一つ一つ磨いている。
「ククルだ」
 名前を呼ばれたから、此方を見たククルとやらは顔を上げて此方見る。服を含め至るところに機械油が付いているが、彼女はそれを気にする様子はない。
「宜しくね」
「はい、よろしくお願いします」
 明るく挨拶をしてくれる彼女に返答を返して、私も床に座る。目の前で分解されているのは長銃だ。私が人生で見てきた中でもかなり大きい部類に入る。
「立派な銃です。分隊で運用を?」
「違うよ。シルヴァ姐さんが一人で運用してる」
 ククルが答えてくれるが、その内容に驚きを隠せない。バレル長だけでも一米を遥かに越している。組み立てれば一米半以上には確実になる。傍に置かれた弾薬もかなり大きい。
「冗談でしょう。長さ一米半以上、有効射程は一粁を超える品物でしょう」
「ほう、銃の心
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