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二人の騎空士
The fate episode
一人目の騎空士
進行度 2/3
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に真っ青な顔で鳩尾を抑えている。強く打ちすぎたか?
「別にいいですが、先にお腹に触っても構わないですか?」
「ん? 構わんが」
 バザラガの返答を受けて、私は容赦なくベアトリクスの服に手を入れて鳩尾に手を触れる」
「お、おい」
 弱々しくも抵抗するベアトリクスを無視して魔術を使い付近の臓器を調べる。膵臓も胃も破損なし。更に付近の臓器も破裂なし。表層は内出血が著しいので軽く止血を行えばいい。後は神経の動作を軽く鈍らせれば気分はある程度回復するだろう。
「内蔵に損傷はありません。体が大事なら数日は安静にしておくことです。無理に体を動かせば内出血の跡が残りますよ」
「あなた、さっきの戦いもそうだったけど魔術使えるんだね」
「はい、少しばかり」
 本当に少しばかりだ。上には上がいることくらいわかりきってる。
「魔術の心得もあるのか。恐れ入るな。それで、ベアトリクスを担ぎたいのだが手伝ってくれ」
「大丈夫、バザラガ。歩ける。それにあんた、大きすぎて背負えないからって担がれるとしんどいのよ」
 そう言って歩き出そうとしたベアトリクスは、すぐに倒れ込み、慌ててバザラガが抱き起こした。
「どうってことないから。大丈夫」
「嘘をつくな。グラン、悪いがこいつをおぶれるか?」
「彼女が良ければ」
 そう返せば、ベアトリクスは死んだような顔で私とバザラガを眺めて、致し方ないというふうに顔を縦に振った。


 二人が所属する団の騎空艇は歩いて三十分程の港に接岸されていた。とりあえずと中に案内される間、見知った顔とすれ違うことはなかった。もともと人付き合いのいい方でもなかったし、当たり前か。
 食堂と思われる部屋にまで私を案内すると、バザラガは付近の女性団員に声をかけた。
「ソフィア、ベアトリクスが負傷したんだ。治療願えるか?」
「負傷はどのようなものですか?」
「腹部に強い衝撃。胃、膵臓、及び付近の臓腑に破裂や自然治癒が困難な損傷なし。皮膚はある程度抑えましたがまだ内出血はあります。意識レベルに問題はありません」
 軽く症状を答えると、ソフィアと呼ばれた女性は此方を見て少しばかり悩む。
「情報ありがとうございます。貴方は、えーと」
「まだ団員じゃない。今日依頼先で見つけて誘ったんだ。今、団長たちは」
 バザラガが代わりに説明してくれたので、私はその間に背負った状態のベアトリクスの足を地面につけさせ、肩を貸して立たせる。
「物資の買い付けに行っています」
「弱ったな。攻撃隊長か防衛隊長は」
「シルヴァさんなら部屋に。フィーエさんは買い物の方へ」
「分かった。ではベアトリクスをよろしく頼む」
「承りました」と言って、私の代わりにベアトリクスに肩を貸すと二人は食堂から出ていった。
「シルヴァの元へ向かうから付いてきてくれ」

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