The fate episode
一人目の騎空士
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五分もしないうちに報酬金を貰い受けた私が家を出てくると、バザラガとベアトリクスがまだ家の前にいた。ベアトリクスは鳩尾を抑えてバザラガにより掛かるように立っていて、対してバザラガは仁王立ちだ。
「早かったな」
バザラガが口を開く。表情が見えない相手というのは真意がわかりづらい。
「貴方達とやりあったせいで怖気づいちゃってましてね、すぐに払ってくれましたよ」
股間を尿で濡らした男性と事態を飲み込めない女性のやり取りは見ていて不快だったがまあ金を回収できたので言うことはない。
「そうか。勘違いと言えど、斬りかかって悪かったな」
「いえいえ」
形だけの謝罪なんて要らないと言いかけたが、なんとか我慢が効いた。彼らからすれば依頼を受けそれを遂行していたのだから何ら問題はなかろうに。
「それだけですか?」
「いや、名前を聞きたいんだ」
「……何故ですか」
「俺達はある騎空団に所属している。またそれとは別の組織にも席を置いている。どちらも名うてが多いが、それでも尚お前程腕の立つ者はそういない。お前ほどの技量を持つ人間が無名であるというのも考えられない。一人二人は知り合いがいると思うんだ」
私は少しばかり悩んでから、質問する。
「私なんて腕はまだまだですが、そうですね、例えば誰が貴方の団にいますか?」
「そうだな……剣士で有名ならば、剣聖と名高いアレーティア、リュミエール聖騎士団団長のシャルロッテ等がいるが」
その返答に安心する。彼女は、いないようだ。
「どちらも会ったことはありませんよ。私の名前はグランです。ただのしがない――」
――二人で、騎空士になるんだよ。
「ならず者です」
彼女との約束は、今や遥か過去にある。私は……グランは、騎空士になれなかったんだ。
「お前、騎空団に入るつもりはないか」
僅かに息が止まる。またなんてことを言ってくるのだろうか。名前を聞きたかったのは敵対的な人間かの確認か。
「俺の一存では決められんが、剣の腕を見るに仲間でも何ら問題はなかろう。無論精神的な部分での問題はあるだろうが、今そこまでは分からないからな。そちらにやる気があるかどうか、という点が今は重要なんだ」
あの日、掴めなかった夢が追いかけてきたのか。……彼女たちはまだ、生きているのだろうか。彼女達はまだ、空を飛んでいるだろうか。それを調べるのに、騎空士になるのは一番いい手立てだろう。けど、だからと言って。私は、彼女以外の団に入るつもりはない。
「今ここで入るか否かを決められないのは此方も同じです。ですから、私からあなた達の団に依頼したい。私を別の島まで送り届けて欲しい。移動中に話もできましょう」
「決まりだな。さて、早速と言ってはなんだがこいつを騎空艇まで運ぶのを手伝ってくれないか」
こいつことベアトリクスは未だ
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