The fate episode
一人目の騎空士
進行度 1/3
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るった身である。謝罪など求めてはいない」
「ならば一安心です。さて、そもそもその依頼主ですが……」
私は今一度一歩下がり、剣を鞘へ戻した。それを見たバザラガは漸く警戒を解き中年の男性の方を伺った。男性は腰を抜かして地面を這いずりながら家の中に戻ろうとしている。彼の這った場所が濡れているのは小便でも漏らしたのだろう。
「彼の言ったことは半分本当です。彼の……彼を代表としたこの村の人々の依頼を受けて私はその依頼を成功させました。だけれど、彼はいつになっても報酬を払うことはなく終いには報酬なんて渡さないと言い始めた。それにこの村人達は同調した」
「つまり、彼は報酬を踏み倒していたと」
「はい。あなた方もそうなる予定でしたでしょう」
私がそう答えればバザラガは鎧の下へ手を伸ばす。顎でもなでているのだろうか。
「よしんばそれが本当だとして、なぜ貴方はここにいる。さっさと去ればいいじゃないか」
「路銀が尽きたのですよ。他の島に行こうにも騎空艇に乗る駄賃さえもない。この島は皆彼らと同じです。島の外から来た人間を使って楽し後は知らぬ存ぜぬを決め込む。もう五度目ですよ」
バザラガは右手で持っていた大鎌をとうとう構えるのを止め、地面につけた。戦闘の意思はもうないということか。
「今は貴方の言葉を全て信じるわけではないが、確かにこの島は以前から評判が悪かったのは事実であり、我々が最初に受け取るはずだった前金が支払われなかったのもまた事実。此後、貴方との戦いで我らが得るものは何もないと見える」
「武器を収めてくださり感謝致します。では、私は少々手荒ですが報酬を、頂きに、参りましょう」
「待て」
私が歩きだそうとしてすぐにバザラガは声を放った。
「なんでしょう」
足を止めバザラガを見やる。彼が此方に命令したのは、此度が初めてだ。
「殺すのか」
「報酬の為であれば如何な手段であろうと講じる、そう確かに契約時に言っています」
四度騙された私は五度目の契約の際、そう念押ししたのだ。それでも首を縦に振ったのだから、それ相応の覚悟を持っていたと私は解釈する。
「過ぎた真似をすれば、俺達は後日正式な依頼を伴ってお前を討たねばならぬかもしれないぞ」
成る程、この口調が彼の普段の話し方か。
「自身の命の為であれば如何な手段であろうと講じます」
「それが答えか」
バザラガの声音に殺意が少しだけ混じる。
「全員を殺害すれば誰も依頼は出来ませんよ」
脅し文句は、何もバザラガしか言えないものではない。
「ベアトリクス、起きろ」
バザラガがそう言えば、寝そべったままのベアトリクスは上半身を持ち上げるが、それ以上の事はなにもしない。いや、出来ないと確信しているのだろう。無理に立ち上がろうとして怪我の程度がばれるのが怖いと見える。
「命乞
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