第十三話「その力を絶て・後編」
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だと? ‘‘憎い‘‘の間違いだろ!」
「……じゃあ、どうして俺のことが憎いの? 怒らないから、言ってみてよ?」
「……!」
しかし、ラウラは寝返りを打って、一夏から目を背けた。すると、一夏は次にこう言い出す。
「……姉貴の、こと?」
「……!?」
その一言で、一瞬ラウラはビクッとした。一夏は、それを図星とみて続ける。
「そのあと、嫌だったけど姉貴から聞いた。三年前に俺が誘拐されたことで姉貴が優勝できなかったことだろ?」
「それが、どうした……!」
「そのあと、姉貴はドイツ軍に頼んで俺を探してもらった。その代わりに軍の教官を務めてくれってことで姉貴はアンタの元へ行ったってことだろ?」
「……」
答えない代わりに、ラウラは頷いた。
「でもさ? 考えようには、姉貴が優勝できなかった代わりに、お前と出会うことができたって、考えればいいんじゃないかな?」
「黙れ! お前のせいで、教官は名誉を……」
「じゃ、姉貴と会えなかったほうがよかったの?」
「そ、それは……」
「まぁ、いいじゃん? 終わり良ければ総て良し! 結果オーライってさ?」
「う、うるさい!」
顔を赤くして強がるラウラだが、一夏はさらに続けた。
「お前だって、本当は辛かったんだろ? こんな事して……」
「……」
「別に笑いはしないよ? 俺だって、同じことしたかもしれないしさ?」
「……辛かった」
「……?」
ラウラは、しぶしぶと彼にその心境を話した。
「だが、それ以上に怖かった。次第に膨れ上がっていく己の憎しみの感情に怖くなって、それと同時に自分の力がすべて復讐に注ぎ込まれていき、弱っていった。とてつもなく、怖くて、辛くて、どうしようもなかった……」
「そっか……でも、無事で本当によかったよ」
「だ、だが! 私はまだお前を完全に許した覚えはないから!?」
「じゃあさ? そんなに俺のことが嫌だっていうならさ? 一発殴るなりして好きにしていいよ? あ、殺されるのだけは勘弁な?」
「……ッ!!」
すると、ラウラは勢いよくベッドから身を乗り出して、その小さな拳を一夏の顔面に向けて放とうとしたが……
「……!」
一夏は固く目をつむった。それと同時に、ラウラの拳は寸前で止まっていた。
「……ッ〜!!」
何かに呆れたラウラは、そのままベッドに座った。
「ハハハ。最初は俺、裏路地でボコられるほど恨み買われるから凄いとんでもないことしでかしちゃったかと思ってびっくりしたよ? でも、誰かが死んだりとか、傷ついたりとかしなくてよかった」
「う、うるさいぃ〜!!」
ラウラは、枕に顔をうずめて恥じらった。
「まぁ……何はともあれ、IS学園にようこそな? ラウラ」
「……ボーデヴィッヒだ」
「え?」
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ! お、お……覚えておけ!!
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ