第十三話「その力を絶て・後編」
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「ちょ、ちょっと! あれ見ろって!?」
スコープでラウラの姿を拡大すると、黒騎士の懐の傷は再生せずにラウラを露出させたままであった。再生する気配がないのである。
「まさか……あの異常な光を発する機体の力だというのか?」
「あの光、もしや……EXAM!?」
「マジかよ……!?」
「だが……もしかすると!!」
ルースは、不安に睨みながらもかすかに微笑んだ。
「織斑先生、もはや、一刻の猶予もありません。大変残念でありますが……ラウラ生徒には犠牲になっていただくより他ありません」
ルースは、そう決断した。
「断る! ラウラは私の生徒だ」
「このまま野放しにすれば、ラウラ生徒は本当に取り返しのつかない『化け物』になって、恐ろしい事態に陥りますよ!?」
「しかしだな?」
「あなただって、五年前の事件をニュースで見たことがあるはずです! 多くの犠牲を払ってまで解決した、あの悍ましき『DG細胞暴走事件』を。ましてや、ラウラは軍人です。それなりの責任と覚悟を背負っているはずですよ?」
「……」
ルースの説得に認めざるを得なくなる千冬だが、そこへマットが割って入る。
「……いや。もしかすると、ラウラ君を助けることができる可能性もあります!」
しかし、ラウラの犠牲を望むMS勢の中で一人だけ、マットだけはふとそう発したのだ。
「マット、なに考えてんだよ!?」
フォルドは、気でも狂ったのかとマットに問う。
「あのイフリートのおかげで、対話できる状態になったと思わないか? 一か八かな状況だが、織斑先生によるラウラとの対話も可能かもしれない!」
「一か八かだろ!? そんな博打、できるわけないじゃねぇか!?」
フォルドは猛反対した。
「そうだ。危険すぎる」
同じくルースも反対する。彼らだけではなく、半数以上のMS教員が反対した。
「しかし……」
「……いや、私はそれに賭けてみたいと思うな?」
だが、そのなかでマットの考えに同意したのはユーグであった。先ほどから静かに周囲の会話だけを聞いていたが、このマットの考えにかつての自分を重ね、席から立ち上がったのだ。
「私は賛成したい……」
「しかし、ユーグ先生!」
マオは考え直せと言うも、ユーグはマットと同じ考えを発した。
「もし、犠牲を減らす戦い方があるというならば、私は一か八かでもそれに賭けたい」
「ユーグ先生……」
マットは、そうユーグを見た。
「マット先生、私はあなたに協力します」
「あ、ありがとうございます!」
「だからって、俺たちは反対だぜ!?」
しかし、反対勢のフォルドらは断固たる姿勢だった。しかし、そんな彼らの前にもう一人賛同の声が現れる。
「あの……皆さん、私からもお願いします!」
ノエルであった。
「私は、これまでマット先生……いいえ、マット隊長の
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