第十三話「その力を絶て・後編」
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た。
「チッ……!」
舌打ちして、フォルドは椅子に座って黙り込んだ。
「織斑先生!」
同じく、マットもしびれを切らし、腹を立てた。
しかし、その時。突如ラウラの居座る第三アリーナ上空から何者かによる戦闘が行われていた。その知らせに血相を書きながらノエルが職員会議室へ飛び込んできた。
「た、大変です! 謎のMSがラウラさんと交戦しています!!」
「なに……!」
マット達は、会議室のカーテンからそっと窓を除き込んだ。第三アリーナ上空の夜空には戦闘の光が発せられている。
「いったい何者だ!?」
デジタルスコープで遠方の夜空を確認するマットの目に映ったその正体。
――ジオン系のMS!?
上空から急降下する青いイフリートタイプの機体。両脚部より取り付けられたミサイルポッドを数発ずつ発射して、両手には刀を模様したヒートサーベルを握り、野太いパイプ状の触手を次々となぎ倒していく。
「イフリート? もしや、こちらに亡命した例の強化人間の!?」
マットは目を細める。戦闘スタイルは強化人間らしいトリッキーな戦いぶりだ。しかし、分が悪すぎる。
「ガンダムタイプでもないのに。イフリートじゃ相手が悪すぎるぞ!?」
隣のルースはそう言いつつも、イフリートの戦闘を見守った。
しかし、戦況は次第にイフリート側の苦戦へと傾いてしまう。触手の先端の群れによる突進の猛攻に避けきれずに直撃を受け続け、さらには触手の胴回りから展開されるビーム弾幕を立て続けに食らい、イフリートのダメージは甚大となる。
しかし……
「ッ……!」
劣勢に追い込まれるイフリートに異変が起きた。機体は両腕を広げると同時に、青い光を発し、モノアイの眼光はよりいっそう鋭く光る。
『EXAM SYSTEM・STANDBY』
夜空に蒼い光を発するその光景はまさに幻想的であった。そして、その異常なイフリートは触手の弾幕や突進に恐れることなく一直線に再び突っ込んでいく。避けきれぬ弾幕や突進を直撃しても構うことなく核となる黒い鎧の騎士へと向かって二刀のヒート刀を振り下ろす。それに迎え撃つ黒騎士は剣でその二刀の刀を受け止め、はじき返すとつかさず反撃に剣を振り下ろすが、素早い身のこなしでその攻撃を避けるイフリートは騎士の懐へヒート刀をバツの字に切りつけたのだ。
「や……やったか!?」
異様な力を発するイフリートの勝利かと思われた。しかし……
「ッ……!?」
バツの字に切りつけられた騎士の懐の傷口からは、露になってラウラの姿が見えた。ラウラはイフリートを睨みつけ、その姿に戸惑うイフリートの前に触手の一体が目の前に回り込んで、イフリートの腹部へ強烈な突進をしかけ、イフリートはラウラの領域から激しく飛ばされてしまい、イフリートはアリーナの外へ放り出されてしまった。うくそっ! ダメだったか……!!」
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