坂上の罪状
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かも知れない。
「うーん…人間の肉って焼くと青みがかるんですかねぇ」
「お前っ!!俺が必死でボカしてた核心部分をずばり口にしたな今!?」
その時、風呂場で検分を行っていた鑑識の奴が首をひねりながら戻って来た。
「…どうだ、血液とか検出されたか」
「いやぁ…それが全く」
「解体したのはここじゃないのか」
死体を腑分けしたとすれば自宅の浴槽だと思っていたのだが…鑑識はしきりに首を捻っている。
「血液は検出されないんですが…うぅむ…なんというか」
「何だ?歯切れが悪いな」
「何というか…『体液』らしきものは検出されているんですよ」
「む?胃液とか胆液とか唾液なんかか?」
「いや…体液、としか言いようがないんですが…強いて俺が知っている限りでアレに近い体液というと」
まだしきりに首を捻る鑑識に少しいらっとする。
「―――カブトガニ?」
「青いのかよ!!」
散々溜めて答えはそれか!?
「え?え?カブトガニが浴槽で超たっぷりさばかれてるってこと?それまた別枠の犯罪じゃありません?」
「―――あぁ、天然記念物だからな」
「カブトガニの死体は見つかってません。食ったんでしょうかね」
「小林インスタ見せろ」
「カブトガニ無いっすよ。ていうかこの人、エビカニ嫌いです」
プロフィールのページを開きながら、小林がゆっくり呟いた。
「旨いんですかね、カブトガニ」
「のけぞるマズさだというぞ」
カブトガニの味はさておき、とにかく殺害も解体もここではないらしい。
「だとすると…殺人が立証しづらくなってきたな。被疑者の自白待ちか…」
その時、俺の携帯が鳴った。
「はい、石上」
着信は検死官の秋山だった。…奴と俺は同期だ。
『ちょっとイッシー、大変だよ』
「身元が分かったのか!?」
『いや、分からん。というより分かりようがない…ということが分かった』
「何だ意味が分からん」
『ガイシャ、人じゃないわ』
―――は?
「てめぇふざけてんじゃねぇぞ」
『まじだよ!DNAがもう人類と全く異なるんだよ、よく見ると角っぽいのあるし、肌の色も微妙におかしいし!血液も…あれはそうだな、俺の知っている限り一番近いのは』
「―――カブトガニ?」
『それだよそれ!!』
…おーい、カブトガニの謎が解けたぞー。俺は鑑識に声をかけて携帯を切った。
「……さて、ガイシャが人間じゃなかった訳だが」
「え?え?」
え?と云いたいのは俺だが。俺は検死官からの報告を小林にざっくり伝えた。
「つまり、カブトガニだったんですね?」
「そんな訳あるか。姿形は人に似て、血液はカブトガニに似た何かだよ」
「だとしたら、どうなるんでしょうね」
「どう、とは」
「坂上の、罪状ですよ」
……罪状?
「殺人じゃないのか?」
「殺人
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