5 殺意
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が。
彼女にも言ったのだ。
「俺はいつか死ぬ、殺される」と。
殺しを犯したからには当然だ、と想う。
さて、彼女はあの時。
なんと言ったか。
少女は衰弱していく須佐之男の首筋に左手のナイフを向けるが、何故かそのまま硬直する。
まるで蛇に睨まれたように。
須佐之男の視界の白い淀みが立ち去っていく、
視界の中の薄くなったもやから紅い瞳がこちらを睨んでいた。
「…クハハ。そう、だった。な、」
「許しませんよ」
声のする方へと顔を向ける。
「私を残して死ぬことは許しません」
恐ろしいものだ。
黒髪の彼女が、霧を破って追ってきた。
何故?、と。
彼女に道理など関係ない、こう言うだろう。『愛の力です』と。
「死ぬなら私も共に死にましょう、ええ、ええ、例え冥府の果てまでお供します」
少女は彼女を見て一瞬呆気に取られる。
「死なぬなら毒蛾を払いましょう」
彼女は着物から出した短刀で膝元まで届く長い後ろ髪を切り落とす。
すると髪の毛は大蛇へ成り、大きな眼で少女を捉え、舌を揺らす。
「私のですよ、私の者です。血液も全て返しなさいな」
少女は立ち上がり蛇を、彼女を、櫛名贄姫を見て。
再び笑みを浮かべた。
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