暁 〜小説投稿サイト〜
Society Unusual talent
5 殺意
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
異能警察との戦いを終え、須佐之男は迎えに来た櫛名と共に路地を歩く。
「ふむ…異能警察、なかなかの手練だったな」

「須佐之男様…お怪我の程は…?」
男の肌を撫でながら、和服の女性は目配せをする。

「問題ない、貴様の心配症(それ)は直した方がいい。あまりのものだぞ、櫛名」
須佐之男は櫛名に視線を送らずに前だけを向いて歩き続ける。

「あらあら」
袖の合っていない服を揺らし、届いていない袖口を口に当てて笑みを見せる。
「たたたっ」と須佐之男の歩幅を合わせて足早に歩きを続ける。

「くくくっ、しかしおもしろい男だった。引き際を弁えていたな」
「スタミナ切れなどと抜かしていたが、底を見せ切らずに我と渡り合っていたとはな」
須佐之男は傷口を見ながら不敵に笑う

「あらあら、それは須佐之男様も同じではないですか、よかったですよ、もし全力を使っていたら街は壊滅、計画は失敗です」

「クハハ、我も馬鹿ではない。操血鬼の実力を視野に入れても我の異能全開までは足らんだろう。奴らは『予備』だ、殺すわけにはならん」
「…だが、熱くなるのは我の悪い癖だ。感謝するぞ」
須佐之男は立ち止まって櫛名の頭にポンと手を置く

「あらあら」
櫛名は再び袖口を口に当てて笑みを見せる。
彼は櫛名に釣られて高笑いをあげて、制圧者達は再び上機嫌に歩みを始める。

彼らは街を蹂躙する。
無能者は異常になり街を放浪する。
異能者は一つ、服従し連れてかれて。一つ、傷を負い街に転がり。一つ、逆らい殺される。

彼らは喜々と会話をして、この『人』をいなくした廃墟を闊歩する。
異常な殺人者達は人という人が消えた廃墟を歩み続ける。

ーー殺人者達は。



「…なんだ?」
須佐之男が笑みを消して目を細める。
いつの間にか視界には白く『もや』がかかっている。

道を進む度にそれは深くなっていき、
立ち止まった時には前も後ろも白く塗りつぶされてしまっていた。

「櫛名。…櫛名?」
彼女の名を呼んでも返事はない、それどころか
自分の声すら返ってこない。
意識が落ちていく感覚に駆られ、自身が分からなくなる。
自分は本当に自分なのか、他の『誰か』なのではないか。


雨が降る。
滴る水に自身の輪郭を思い出すと、前方の霧が薄く開いていることに気づく。

バシャッといつの間にか出来ていた足元の水溜りを踏むと、水は波紋と共に中心から紅く赤く朱く染まっていく。
須佐之男はおもわず冷や汗を垂らし、前方へ向き変えると


映るは右手にバタフライナイフを持った少女とバラバラに解体された黒い女の死体。
四肢をバラバラに切断され、目を見開いた首がこちらを向いて落ちている。

彼女の後ろの壁には所々鮮やかに、所々掠れた
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ