加速
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った。ここは、頼む」
アスナの言葉に納得が言ったかのように、シリカにルクスも頷いていた。最後にアスナが言ったキリトを呼ぶ、というのがトドメになり、三人に感謝しながら俺は走り出した。ショッピングモールから出ながら《オーグマー》を操作し、送られてきたレインの家への道筋を用意する。
やはりどうやってもボス戦が始まる9時までには行って帰って来れそうになかったが、電車を乗り継いでいけば行くこと自体は難しくなさそうだ。いつもはその煩雑さに辟易する側だったが、今日ばかりは電車社会に感謝しておく。
「ふぅ……」
息を切らせて目当ての電車に乗り込むと、幸いにも空いていた席で一息つく。これからの乗り換え方法を確認しながら息を整えると、キリトの《オーグマー》に連絡を――しようと思ったが、キリトはあまり《オーグマー》にいい感情を持っていなかったことを思い出すと、ポケットから出した携帯で「よろしく」という旨の連絡を送る。
次いでメールボックスを開くと、先日、レインから来た最後のメールである「大事な話があるから来て」という連絡を確認する。しかしてその数十分後には、「実はボス戦へのお誘いでした」という違和感のあるメールが届き、そこからは連絡が取れなくなっている。
レインやリズの身に何が起こったのか、電車に揺られ乗り換え、答えの出ない問いを繰り返していると、気づけば電車を降りていた。田園風景が未だに広がる地方都市で、《オーグマー》の誘導に従って歩いていくと、ある住宅街にたどり着いた。
「ここか……」
ショッピングモールを出た時はまだ青空だったというのに、流石にもうボス戦の時刻という訳ではないけれど、すっかり空は夕焼けに染まっていた。住宅街の一角にそびえる『枳殻』という名字の家を見つけ出し、《オーグマー》の電源を切りながらインターホンを押した。
『……ショウキくん?』
「ああ」
インターホンから聞こえてきたレインの声に肯定すると、しばし後に枳殻家の扉が開いた。そこには想像通り、亜麻色の少女が悲しい表情を作って立っていた。
「ごめんね、ショウキくん。あんな風に呼び出しちゃって……誰もいないから、上がってよ」
こちらが目を背けて自らの表情を悟ったのか、レインは無理やりにも笑顔を作って、俺を家の中に招き入れた。家の中には女性らしい小物が溢れていて、そのままリビングへと通される。
「来客とか来ないから、スリッパとかなくて……とりあえず座ってて。紅茶、煎れるからさ。ショウキくんはコーヒーの方がいいかも知れないけど……」
「レイン。用件を話してくれないか」
リビングに入るなり、ソファーを勧めて逃げるようにキッチンに向かうレインに、心苦しいが釘を差す。紅茶を用意しようとしていたレインの動きがピ
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