加速
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ーンも飛んでいて、どうやらユイの予想は当たっているらしい。
「まだボス戦には時間があるね」
「なら、ショッピングモールの中を探しましょう!」
「……ああ。見つけたら、すぐに連絡をくれ」
可能性は低かったが、もしかしたらエイジも既にこのショッピングモールに来ているかも知れない。シリカの発案から、ひとまず二手に別れてショッピングモール内の散策をすることとなった。
「…………」
注意深くモール内を見渡してはみるものの、もちろん、そう簡単に見つかることはなく。ただ《オーグマー》を通して見ることが出来たのは、すっかり日常的になったARだけだった。本や端末から実際に飛びだす動物を見て喜ぶ子供など、今でこそなければ和む光景だったが、ただ苛立ちを加速させるのみだった。
「ショウキさん……」
「……悪い」
どこかたしなめるような口調のルクスに、自分がどんな状態が自覚して髪を掻く。ただ自覚したところでどうなる訳でもなく、そのまま歩きながらルクスに語りだした。
「分かってるんだ。慌てて、苛立って、そんなことしても何にもならないって……だけどな」
「……うん」
こちらの脈絡もない台詞に対して、ルクスはただ黙って頷いてくれていた。その心遣いに感謝しながら、ひとまずはこの答えのでない問いは心の隅に追いやっていく。
「そ、そういえば、ショウキさん。リズへのプレゼントは決まったんですか?」
「え? ああ……」
さらにこちらを気遣ってくれているように、ルクスは話題を変えてプレゼントの件に聞いてくる。アスナにしか話していないはずだったが、いつだかクラインに言われたように、どうやらリズ当人以外にはバレバレらしい――と、今更ながらに観念する。
「まだ考え中だよ」
「この件が終わったら、盛大にお祝いしてあげてくださいね」
「終わったら、な……」
この件を終わらせられたとしても、リズの記憶が蘇らないようなら――という弱気な気持ちを脳内で振り払う。どうにかこちらを元気づけようとしてくれているルクスに、内心で感謝しながら気を引き締めた。
「ここで終わりですか?」
「みたいだな。向こうは……」
しかしてエイジも手がかりも見つかることはなく、モール内で俺たちが探す担当になっている箇所は終わってしまう。他の場所を探している二人にも、《オーグマー》を通して連絡を取ってみるものの、どうやらあちらもエイジを見つけることは出来なかったようだ。
「仕方ない、合流するか」
「はい」
元々いるかどうかも分からない、ボス戦が始まるまでの暇つぶしのようなものだ。多少は残念に思いながらも、ダメで元々だときびすを返す。アスナと《オーグマー》で連絡を取りながら、ひとまずは
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