111部分:第十話 張飛、また馬超と会うのことその十
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第十話 張飛、また馬超と会うのことその十
「そんな変な格好をして!」
「何っ?」
「殆ど変態なのだ!」
見事に言ってはならないことを言う。
「変態仮面なのだ!おかしいのだ!」
「変態だと」
それを聞いた一応趙雲ではないことになっている彼女のオーラが一変した。
「しかもおかしいだと」
「そうなのだ、変態にしか見えないのだ!」
まだ言う張飛だった。
「それで何がしたいのだ!変態ごっこに付き合うつもりはないのだ!」
「変態ごっこか」
「まずいな、こりゃ」
馬超はわかっているだけに気まずかった。
「完全に怒ってるなありゃ」
オーラだけではなかった。表情も不機嫌そのものになっている。その様子を見てすぐに察したのである。
しかしである。人質は救出された。それは大きかった。
「姉様、何はともあれ」
「人質の心配はなくなったよ」
馬岱と許猪がこのことを言う。
「もう一気にさ」
「やっつけちゃおうよ」
「ああ、そうだな」
馬超も形勢逆転ははっきりとわかっていた。
「それならな。あの用心棒を退けてな」
「その心配はもういらんで」
その張遼からの言葉だ。
「ちょっとやることができたわ」
「やること?」
「ああ、そや」
言いながら前に出るのだった。
そうしてである。何と馬超達の前をそのまま通り過ぎてしまった。四人も彼女があまりにもあっさりと通り過ぎたので何もできなかった。
「例え雇われても身内は身内や」
「身内っていうと」
「そこの三人?」
馬超と馬岱が尋ねた。
「いつも見る顔だけれどさ」
「その連中?」
「そや。おどれ等」
そのいつもの三人の前に来ての言葉である。
「よおもやってくれたな」
「な、何だよ急に」
「その態度はよ」
見れば張遼の表情が一変している。目は吊り上がり怒らせたものになっている。憤怒と言っていい表情だった。
「だから俺達にも都合があるんだよ」
「それ言ったじゃねえか」
「人質取るなんてふざけた真似しおって」
その憤怒の顔での言葉だった。
「そこまで腐った奴等やったとはな」
「な、何だよ」
「俺達だって都合があるんだよ」
「そうか。都合か」
張遼の背中には炎があった。その炎を背負っての言葉である。
「じゃあうちの都合も言うな」
「い、言ってみろよ」
「聞いてやるからな」
「ああ、何でもな」
「何でもかい」
三人の言葉を聞く。見れば三人は完全に気圧されている。最早彼女の言葉が全て通るのは一目瞭然であった。人の質が違っていた。
「言うたな。そやったらや」
「そやったら?」
「じゃあ何だ?」
「借金の証文出し」
こう言ってきたのである。
「証文な。今すぐな」
「これかよ」
のっぽが出してきた。
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