第1話<艦娘の故郷>
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るのか。フム、妙に納得した。
「で……司令は帰省されますか?」
いきなり祥高さんに切り返されて、こっちがビックリした。
「あ、いやぁ……」
何故か頭に手をやってシドロモドロになってる私。
彼女は続ける。
「内規では私たち艦娘と違って司令は疲労回復のため休暇も認められています」
……それは、まるで辞典を読んでいるみたいな言い方だな。
「居場所の確認と……常に通信可能な環境下であれば日数をまとめて休暇取得することも可能です」
「え……」
直ぐに、あの駆逐艦の寛代を連れまわした自分の姿が想像できた。
「いや私の地元は直ぐそばだ。改めて、そこまでする必要もないだろう」
(だいたい、あんな小さな子を連れて地元をウロウロしたら、どこで誰に見られるか分からない)
私は妄想を膨らませた。地元の知り合いに出くわして「お嬢様ですか?」 ……なんて聞かれた日にゃ、どう応えるんだ? 恥ずかしい。いちいち説明するのも億劫だ。
だが祥高さん、いきなりカットインしてくる。
「司令が否定されても現在のお立場上、護衛艦を必ず一人以上、随伴して頂きます」
「え?」
思わず妙な声が出た……何か、話が勝手に進んでいないか?
「えーっと、護衛艦必須?」
頭が付いて来ない。私は妄想の世界から強引に現実に引き戻された感覚だ。
「そうなると、祥高さんとか大淀さん以外の?」
今度はキリッとした二人を引き連れる光景が妄想された。やめてくれ。
(どうせなら、ちょっとボーっとした艦娘が良いな)
そう思ったら彼女が追撃してくる。
「ご安心下さい。私たちが地上で行動する時は艤装が装着出来ません。ですから原則的に護衛役には駆逐艦以上、軽巡級以下の艦娘が同伴します」
どんどん、話が進む。あれあれ?
(祥高さん、もうあなた作戦参謀になったら良いよ)
「軽巡以下で強い娘……」
嫌な予感しかしない。天龍とか龍田さんだと別の意味で輪をかけて、ややこしくなりそうだ。堪らず私は立ち上がると再び美保湾を見た。大山が綺麗だ。
私が窓の外を見ながら一人で悶々していると名簿を見ていた祥高さんが顔を上げた。
「司令、夕立がお勧めです」
「へ? ……夕立ぃ?」
居たんだ、そんな艦娘。あれ? どっかで聞いたことはある。
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