第70話<後の祭り>
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
う言うことが初めてでして」
困惑したような彼。
するとその時、誰かが駆け寄ってきた。
「頼もうーっ」
「た?」
私たちが振り返る間もなく比叡がやってきた。
「これをっ!」
何か手紙らしきものを握り締めた彼女は、それを神戸の目の前に突き出した。
「は?」
目を白黒させている彼は押し付けられるようにして、その封書を受け取ると比叡は反転した。
「では」
軽く敬礼をして走り去る彼女。
「何だ? それは」
舞鶴が聞くと神戸は言った。
「挑戦状?」
私たちは苦笑した。
その後、朝食を終えた私たちは身支度のため、20分の調整時間を設けた。
その間に私は執務室に入った。直ぐに内線が入り、着替えた後の阿武隈と伊168が顔を出した。祥高さんによると、彼女達は呉からの異動らしい。
阿武隈は北上にイジめられないか、かなり恐れていた。
私は言った。
「北上は、そんなに根に持つタイプじゃないから大丈夫だよ」
まあ、後で個別に北上にも話しておこう。
午前中は、参謀たちと共に皆生温泉で疲れを癒した。
お風呂に浸かりながら舞鶴とはいろいろ話が出来た。とっつき難そうな彼だったが意外にも彼は気さくだった。まあ、お互いに敬遠しあっていただけか。きっと私に似たタイプなんだろう。
北上のことは、どうしても手放したくなかったようだが。異動については、もともと軍令部の命令だ。また北上自身が今後も美保に留まる決意だから。こればっかりは、もうどうしようもない。
ただ舞鶴の心の棘が少しでも解けたのは嬉しかった。お互い日本海の護りを固めようと誓い合った。彼が舞鶴の提督になるのもそう遠くないかも知れない。
そのことを彼に言うと、少し複雑な表情を見せた。
「いや、そう艦単には行かないと思う」
「そうなのか?」
私が訝しそうに言うと彼は声の調子を落とした。
「私に兄が居てね……軍部の医師なんだが、評判が悪い」
何か事情がありそうだ。何となく彼に悪い気がして、それ以上は突っ込まなかった。
だが後年、この舞鶴の兄が軍部、いやこの国を揺るがすほどの大きな問題を引き起こすことになろうとは、その時の私には全く想像も出来なかった。
伊168については、その呉ジイジが、とても残念がっていたけど。美保は現在、潜水艦ゼロだから仕方がないよな。
皆生温泉から上がったその足で、お昼前には米子駅から相次いで参謀たちを送り出した。
米子駅前に立った私は感慨深かった。
「私の美保鎮守府は、ここから始まったようなものだな」
その後の美保鎮守府について簡単に記しておこう。
山城さんは、ずっと入渠している。違う所の故障じゃないのか?
ただブ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ