107部分:第十話 張飛、また馬超と会うのことその六
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第十話 張飛、また馬超と会うのことその六
「どうしたの?」
「これからどうするのだ?」
こう二人に対して問うのだった。
「とりあえず旅を続けるのだ?」
「そうだな。二人でもいいけれどな」
馬超は張飛の言葉に応えて言ってきた。
「よかったらそっちと一緒になっていいか?」
「鈴々達と一緒に?」
「ああ。旅は多い方が楽しいしな」
だからだというのである。
「それならどうだ?」
「鈴々はそれでいいのだ」
張飛はそれで異論なかった。
「それなら」
「ああ、宜しくな」
「こちらからもなのだ」
こうして馬超と馬岱は張飛達に加わることになった。そしてその三人の前に。
「あっ、あんた達は」
「むっ、御前は」
「さっきの大食い大会の」
「そうだよ。また会ったね」
あの少女だった。鳶色の目の光が奇麗である。
「さっきは凄かったね。僕あんなに食べる人達はじめて見たよ」
「それはこっちの台詞なのだ」
「まさかあそこまで食うなんてな」
二人はその少女に対して述べた。
「鈴々もはじめて負けたのだ」
「あたしもだよ。本当によく食ったな」
「そうだね。けれどここでまた会ったのも何かの縁だよね」
少女の言葉は明るい。
「どう?今から何か食べに行かない?」
「何っ、まだ食うのだ!?」
「よくそんなに食えるな」
「賞金もあるしね」
それもあるというのである。
「だから。どうかな」
「うう、食べるのはもういいのだ」
「お茶ならいいんだけれどな」
「じゃあコンサートはどうかな」
女の子はこちらも誘うのだった。
「張三姉妹のコンサートだけれど」
「ああ、それなら」
「あたしもお金あるしな」
「お金は僕が持ってるよ」
ここでも少女の言葉は明るい。
「優勝したしね」
「それでも自分の分は出すのだ」
「ああ、あたしもな」
「そうなんだ。ああ、あと僕の名前だけれど」
少女は今度は自分の名前も話してきた。
「許緒っていうんだ」
「許緒なのだ」
「へえ、いい名前だな」
「有り難う。真名も言おうかな」
その少女許緒は笑いながらこうも言ってきた。
「真名は季衣だよ」
「鈴々なのだ」
「あたしは翠」
「私は蒲公英よ」
三人共名乗ったのだった。こうして意気投合した四人はコンサートに向かおうとする。しかしここでその四人の目の前にだった。
「話が違うぞ!」
「違うんだよ」
「借金には利息ってのがあるんだよ」
男の子の声と下卑た声が聞こえてきた。見れば三人の粗暴な男達が小さな男の子を囲んで脅すようにして言ってきた。その三人は。
「あの三人は」
「ああ、前に見たな」
「ここに来るまでも会ったよ」
何と三人共見ている顔であった。
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