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レーヴァティン
第六話 神殿その一

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                 第六話  神殿
 久志と英雄は馬に乗りロバを連れつつ神殿を目指していた、その途中も幾度も戦いを経ていた。その中で。
 久志は馬上からだ、今しがた倒したオーガ達を見つつ英雄に言った。彼等の刀剣は血で紅く塗れているがその紅は濁ったものだ。
「片手で振ってるけれどな、俺達」
「今はな」
「ああ、剣も刀もな」
「振れているな」
「馬に乗ってると両手じゃ振れないからな」
 片手は手綱だ、二人共そこまでの馬術は備えていない。
「そうしてるけれどな」
「案外振れてるな」
「そうだよな」
「しかも威力が違う」
 馬に乗っていると、とだ。英雄はこのことを指摘した。
「上から振るからな」
「それもあってか」
「余計に強い、しかも相手も威圧されている」
「威圧?」
「俺達を見上げてな」
 敵がというのだ。
「人はそれだけで怯えるからな、自分より大きな相手には」
「馬に乗った分高くなるからだな」
「そうだ、それもあってだ」
「馬に乗ったらこんなに有利でか」
「武器の威力も強くてだ」
「そういうことか、それで騎兵は強かったんだな」
「その通りだ」
 英雄の言葉は簡潔だった。
「モンゴル騎兵も強かった」
「モンゴル帝国か」
「そうだ、尚モンゴル騎兵は突撃よりも弓矢を使ったがな」
「そこは俺達と違うか」
「弓で相手を遠間から攻撃していた」
 所謂アウトレンジ攻撃だ、これで損害を出さない様にしてそうして損害を出さない様にして戦っていたのだ。
「あの国の騎兵はな」
「弓矢か」
「俺達はおそらく慣れていないがな」 
 使うことにだ。
「ましてや馬に乗って弓矢を放つとなると」
「まず無理か」
「これは相当な熟練が必要だ」
 そうなるというのだ。
「この場合はな」
「そうか」
「試しに弓矢を使う話も町でしたが」
「いきなり馬に乗っては無理だろうな」
「両手も確実に塞がるしな」
 これも弓やの特徴だ、利き腕で矢をつがえもう一方の手で弓を持つ。これでどうしても両手がふさがってしまう。
「俺達の様な近距離戦ではな」
「かえって駄目だな」
「そうなる」
「じゃあ結局弓矢はなしか」
「遠くからの攻撃は魅力だがな」
「やれやれだな」
「何か他のやり方で攻撃出来ればいいが」
 しかしとだ、英雄は言葉に入れた。
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