暁 〜小説投稿サイト〜
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第三の牙
第三話 新たな天使
[9/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。それなのに今さら……俺にそんな義理はない。助ける必要なんてない。俺はあの人達の事なんて知らない。
 目を瞑れ、何も視界に映すな。
 俺はクーデリアを助けるんだ。
 それだけって手一杯なんだ。だから、もう────止めてくれ。
 足が、止まった。
 動け。ここで立ち止まるな。
 ここで立ち止まったら、ここまで来て止まったら俺は一体、何の為にここまで来たんだ?
 クーデリアを、母さんを探し出し助け出す為に。俺は……一体どれほどの人達を犠牲にしてきた?
 救いの手を求めて、必死に伸ばしてきた手を無視した意味をここで喪ったら……俺は。
 
 ────もう、嫌だ。
 
 「……諦めるかよ」
 考えるな。歩き続けろ。
 俺は、クーデリアを助ける。
 今は、それだけを考えろ。それだけを考えるんだ。
 足を前に踏み出せ。ここで立ち止まるな。後ろを振り返るな。前を見ろ。
 それでも、聴こえてくる断末魔。
 聴き続けろ。そして、忘れるな。
 瓦礫の下敷きになった少年。
 それを助け出そうとしている中年の青年。
 俺の目の前で死んだ女の子。
 そうだ、思い出せ。そして、忘れるな。
 今、俺が見ているこの地獄を脳裏に焼き付ける。
 人が死んでいく。
 圧死。
 窒息死。
 焼死。
 周囲に転がっている人間だったそれを。
 助けられた救けられなかった命を俺は忘れない。
 俺はクーデリアを救うために、他の救えた人達を犠牲にした。一人の人間を救うために大勢の人間の生命を犠牲にしたんだ。呪われても、憎まれても仕方ない。でも、それでも……俺はクーデリアと一緒に生きるんだ。
 生きて、母さんの所に帰るんだ。
 その為ならなんだってする。生きる為なら、なんだってしてやる。
 俺は────。
 
 ────生きるんだ。
 
 ……ここが、クーデリアの言っていた。
 もう、声も出ない。
 体力を使い切った。足も震えて動かない。
 あと……少し。ほんの、少しなんだ。
 あと、もう少しで────。
 
 そこで、俺の視界は途絶した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「────アカツキ、」
 
 誰の、声だろう。
 男の声だ。それも一人じゃない。
 複数人の男の声。なんか、身体が揺れてる。
 「おい、起きろ。
 アカツキ。アカツキー」
 「そんな乱暴に起こすんじゃねぇよ。コイツはここまで議長を担いで来たんだ。もっと丁重にだなぁ……」
 「そんな事、言ってる場合かよ。
 今は怪我人を運ぶのを優先しねぇと……ここもいつ狙われるか分かんねぇだからな!」
 「分かってる!でもな、焦っても状況は変わらねぇ。今は冷静になれ、コイツは俺が運
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ