第三話 新たな天使
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爆発に似た着地音。その衝撃で、俺とクーデリアは吹き飛ばされた。
粉塵舞う、周囲一帯。あまりの衝撃に俺達の立っていた足場は大きな穴が空いており、あのままそこに居たら今頃、俺達は……。考えるだけで、悍ましい。
「クーデ……リア」
俺とは違う所に吹き飛ばされたのか、姿が見えない。
ツゥッ────足が、痛い。
さっき吹き飛ばされた衝撃で右足を痛めたようだ。歩けるけど、激痛でうまく動かせない。折れては……いないようだ。
両腕は……動く。頭痛もしない。
足だけ、なら問題ない。今はクーデリアを探すんだ。
さっきのデカブツの姿は見えない。
俺達を殺したと勘違いして、何処か別の所に飛んだのだろう。
そして、人を殺す。
あのデカブツが戻ってくる前にクーデリアを探し出すんだ。そして、クーデリアの言っていた地下シェルターに逃げよう。
そうすれば……助かる。俺達は、助かるんだ。
「クーデリア……」
右足を引きずりながら歩く。
壁を使って、ゆっくりと一歩ずつ確実に進む。
そして、クーデリアを見つけた。
「クーデリア、クーデリア、」
建物の瓦礫の上で倒れてる。
見たところ怪我はない。
吹き飛ばされた時に頭を打って気絶したのだろう。息もしている……生きてる。
「クーデリア、起きて。ここから逃げるんだ」
返事はない。揺さぶっても起きない。
このままじゃあ……。弱気になるな。今は生きることを優先しろ。クーデリア一人くらいなら、なんとかなるはずだ。
そうだ。俺は、俺達は生きるんだ。
「クーデリア……行くよ、」
クーデリアの体を起こし、腕を肩に掛ける。
……重い。でも、歩ける。
足が震えて、うまく歩けない。
それでも、歩ける。
「大丈夫、俺達は……大丈夫」
不思議と右足の感覚が無くなってきた。
痛みも薄れてきた。これって、症状が悪化してきたのが原因なんだろうけど今は助かる。足が勝手に震える……それでも、クーデリアを連れて歩けるなら問題ない。
「「「「「「────」」」」」」
響き渡る悲鳴。
うるさい。
うるさい。うるさい。
うるさい。うるさい。うるさい。
耳障りだ。耳を塞いでも、この声達は俺の頭に残り続ける。
────助けて。
───死にたくない。
──この子……だけでも。
───────誰か……。
──────父さん……母さん。
────────────痛い。
────……嫌だ。嫌だ。嫌だ。
────────……恐い。
色んな声が、俺の頭の中を「胸」の中で響き渡る。
止めろ。そんなの、俺にどうしろっていうんだ。
無視しろ。これまで、俺は無視してきたじゃないか。
助けを求める人達の声を、手を無視してき
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