第三話 新たな天使
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に負けてしまっては意味がない。
故に、状況によっては?空?からの援護射撃で迎撃する効率の良いシステムで戦いを行う。
だが、それはモビルスーツを相手にする場合での話だ。
荒れ狂う鳥のような形をした何かは暴れ回る。
人間を積極的に攻撃し、虐殺する。
そして、その鳥もどきの動き方も計算されていた。
鳥もどきはモビルスーツの射線上に生きた人間を入れることで攻撃を回避しているのだ。
生きた人間を見殺しに出来ないギャラルホルンのモビルスーツパイロットは何の手出しもすること無く、その光景をたた、ただ見ていることしか出来なかった。
………………。
……………………。
…………………………。
走れ────走れ。
悲鳴は無視しろ。振り返るな。前だけ見て走れ。
耳を塞げ、そうすれば何も……聴こえない。
今はクーデリアの元へ走れ。一緒に逃げて、母さんと三人でご飯を食べるんだ。だから、振り返るな。前だけ見るんだ。助けを求める人達の声なんて無視しろ、火に炙られ焼ける人間なんて見るな。今は走れ、生きる為に走れ。
だから────立ち止まるな。
「見てない、見てない。
助けてなんて聴こえない。殺してくれなんて聴こえない。俺はそんなの聴いてない。俺はクーデリアと一緒に帰るんだ。母さんが家で待ってるんだ。そうだ、俺はクーデリアと一緒に家に帰って母さんの作ったご飯を食べるんだ。たわいない会話をして、家族の時間を過ごすんだ。そう、今日は家族三人で過ごせる貴重な日なんだ。少しでも早く帰らないと駄目なんだ。
駄目なんだよ。帰らないと……こんな所に居ちゃ駄目なんだ。生きて帰って、俺は。俺は────」
「アカツキッ!」
その声は俺の冷たい心を揺さぶった。
視線の先、そこに立っていたのはクーデリアだった。
「クーデリア……」
良かった。無事だったんだ……。
「なんで、こんな所に……アトラは一緒じゃないの?」
「母さんは家で俺達の帰りを待ってる。クーデリアの好物を沢山、作って待ってるんだ」
「アカツキ……?」
「だから、帰ろう。ここは危険だ。ここに居たら、あの鳥みたいな奴に殺される────」
俺は抱きしめられた。
「クーデリア……?」
「大丈夫、大丈夫よ。貴方は死なない。私が守ります。だから、そんな顔をしないで」
そんな顔って……。俺は、半壊した店の硝子に映った自分の顔を見てしまった。
その表情は、あの時と同じで「笑っていた」
こんな状況なのに、俺は笑っていたんだ。
「ここは危険です。ここを右に行けば地下シェルターがあります。そこまで行けば大丈夫、きっと助かります」
クーデリアは俺の手を引っ張り走った。
そして、奴はそれに気付いた。
────ドンッ!!!!!!
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