SIDE:A
第十四話
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び地に伏した弟を冷めた目で見降ろしながら抑揚のない声で語り掛ける。
「俺がお前の望むような兄を演じてきたのは、お前の"器"を図るためだ」
「器……?」
「お前はこの俺にとって高みに上るための鍵となる器を秘めている。お前を生かすことが俺にとって利をもたらすと判断したため、お前だけは生かしておいてやる」
それだけ言うと、背を向けて去っていくイタチ。どうしようもない無気力感と、言いようのない空虚感、そして今までに感じたことのないほどの憤懣やるかたない思いがサスケの胸を焦がしていた。
「くっ……くっそぉぉ……! なんがよ、なんだよそれぇ……っ」
兄が語った理由は理解できる、が受け入れたくない。否定したい気持ちでいっぱいだ。
だが、これが事実で現実なんだと思い知らされ理解してしまう。
色々な感情が渦巻き、とめどなく涙があふれた。
「憎め、この俺を……。俺を殺したければ憎しみを糧に強くなれ」
そう言い残し、イタチは生家から去っていった。
「――チクショォォォォォオオオオオォォオオオオオ〜〜〜〜ッッ!!」
† † †
「――と、いう夢を見たんだ」
「ハハハハハ! な、なかなか愉快な、夢だな……くくっ」
「いやまあ、俺もそう思うけど……イタチさん笑いすぎ」
「いや、すまない。どうにもツボに嵌ってしまったようでな……」
冷静沈着なイタチさんにしては珍しく目に涙が浮かぶほど大爆笑をされてしまった俺氏。そういう運命を辿るかもしれなかったんだと言っても多分一笑に伏してしまうだろう。まあそれが一番なんだけどな。
今、俺は先輩忍者であるイタチさんの稽古に付き合っていたところである。イタチさんとは数年前からの付き合いであり、以前は彼から手裏剣術や体術などを教えてもらっていた。ガイ師匠に弟子入りしてから体術はメキメキとうなぎ上りで、今ではイタチさんをも凌駕するレベルである。流石に手裏剣術はイタチさんの方に分があるけれど。
なので、時たまイタチさんの体術のスパーリング相手を務めさせてもらっている。写輪眼前回のイタチさん相手に引けを取らない俺氏、格好いいと自画自賛。
そして現在、地面に座って十分の休憩を挟んでいるところで今朝見た『夢』をイタチさんに話してみたのだった。
「その夢の内容にはある意味驚きだが、よく万華鏡写輪眼を知っていたな?」
一通り笑って冷静な思考が戻ったのか、こちらの真意を推し量るような目を向けてくるイタチさん。
それも仕方ないだろう。写輪眼その
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