第5話「汝に幸あれ」
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法律的にもそうだし、何より俺たちの信条がそうさせる。俺達よりもずっとずっと執念深くて、狡猾な異能マフィア達をしのぎ続けるためには、絵里さんに常に共に行動してもらわないといけない」
「なるほど、さすが達也。僕たちの頭脳。天才だね」
「いやいやまさかそこまで考えてなかったとか言いませんよね?」
「うん。言う」
「おかしい! 理不尽だ! 言い出しっぺがマトモに説得理由考えてないとか!!」
「……」
絵里は考える。
確かに、それは名案だ。それなら、自分の身を守りつつ、周りの人の心配もしなくていい。彼らが一人一人が予想もつかないほど強いことは知っている。自分が心配する必要がないほど。
だけど。
「でも、本当に私なんかが、いいんでしょうか。私がいる限り、みなさんに迷惑が??」
「そういうのはいいのいいの。仲間うちなら迷惑かけても当然よ」
「そうですよ〜! ボクなんてプロになるまで何年兵児さんがカードゲームの世界大会で稼いできた大金をまるっと頂いてると思ってるんですか〜!」
「ん……? おいちょっと待て。お前今妙な事??」
「えー、なんですか? すみません、耳にヒラメが入ってまして」
始まった茶番を呆然と見つめながら、絵里は内心で苦悶する。揺れ動く。迷惑をかけたくない。でも、この人たちになら、頼ってもいいのかもしれない、と。
その様子を、別の理由で逡巡しているのだと思ったのか、達也が後頭部をかきながら歯切れ悪く言う。
「まぁ、いきなりこんな胡散臭い探偵社に入れ、なんて言われても困りますよね」
「え……い、いえ。胡散臭いなんて、そんなことは──」
「まぁ胡散臭いのは仕方ないね。実際そうだし。だから、そうだなぁ……仮入社、もしくはアルバイトみたいな感じで。期限は、この事件が収拾するまで。どうかな?」
にこり、と。いつもの道化師のようなそれとは違う、柔らかい笑顔を浮かべて。
健が、右手を差し出す。
達也も。騒いでいたかずのこと兵児も。
「あ……」
知らず知らずのうちに、絵里の右手も、彼らの掌へと延びていた。
「よろしく、お願いします」
「うん、よろしくお願いされました」
「ようこそ、我らの探偵社へ」
「かずのこちゃんは絵里さんを歓迎しますよ〜!」
「俺も面倒でないなら力になろう」
温かく自分を迎え入れてくれた彼らに、絵里の頬も緩む。ああ、これなら、きっと、大丈夫。
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「じゃぁ、早速入社式と行こうか! たしか焼肉の機材をこないだ注文したはず??」
健が笑って、機材を探しに行こうと、一歩を踏み出した。
「そうですね。じゃぁ、ついでに退社式と行きましょうかぁ!」
「「「「──!?!?」」」」
その時
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