第7章 聖戦
第167話 ヴァレンタインの夜
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彼女の言葉は真実。
いや、現実に滅亡させたかどうかは定かではないが、それでも自分の行いが原因で国を滅ぼしたと感じている事だけは間違いない。……そう言う事だと思う。
それに、先ほどのタバサの言葉には地球の歴史に重なる部分もある。運河の整備は国として行って当然の公共事業だし、望まない戦争に巻き込まれる可能性だってある。
確かに隋の京杭大運河の建設のように、国を傾けた運河の建設と言う例もあるにはあるのだが。
で、次。豪華な宮殿の建設は……俺の考えだと、大国としての権威付け以外に意味が見いだせないとも思うのだが、それでも彼女が治めた国の規模によってはある程度のハッタリと言うモノも必要だと思うので――
当然、枢機卿を受け入れるのも悪過ぎる選択肢と言う訳ではない。タバサの滅ぼしたと思い込んでいる国が存在していた世界の枢機卿がどう言う地位にあるのか分からないが、俺の知っている地球世界の枢機卿と言うシステムなら、受け入れるメリットはある。
枢機卿の俸給は基本的に国庫から支出される物ではなく、教会から支給される物。つまり、優秀な人材をロハでこき使う事が出来る可能性もある、そう言う事。まして、彼らは司教。これによって、教皇庁との太いパイプを作り上げる事も可能となる。
それぞれ単独で見ると、別段、国を傾けるほどの悪政を敷いたと言う訳ではない。
ただ、それがすべて同時に訪れたとなると……。
フロンドの乱やユグノー戦争の後始末。ミディ運河を整備。ベルサイユ宮殿の建設。ジュール・マザランの登用。しかし、その治世の後半ではアウクスブルグ同盟戦争、スペイン継承戦争の莫大な戦費調達と放漫財政の破たんにより深刻な財政難にフランスを陥らせ、結果、フランス革命が起きる道筋を作り上げたルイ十四世と重なる部分がある。
そう、フランス革命は別にマリー・アントワネットが引き起こした訳ではない。その芽を作り育てたのは太陽王ルイ十四世。少なくとも、この中の戦争に関する部分がなければ、あそこまで苛烈な革命が起きる事もなかったと思うのだが……。
まぁ、歴史に……たら、……れば、はない。起きて仕舞った事がすべて。更に、為政者に対する評価も結果がすべて。頑張ったから認めてくれ、を受け入れる訳にも行かない。
ただ……。
「……なら聞くが、俺が異世界の邪神を呼び寄せて、危うく世界を滅ぼしかけた事がある。そう言ったなら、タバサは信用してくれるか?」
問いに対する問い。まして、今の俺を知っている。それも、自らの片翼とまで考えているはずのタバサからすると、例えそれが真実であったとしても受け入れる事は難しいぶっちゃけ話。
当然、かなり否定的な雰囲気を発するタバサ。おそらく、自分を慰める為に。誰にだって間違いはあるのだから気にするな。……と言う言葉の代わ
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