第7章 聖戦
第167話 ヴァレンタインの夜
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俺はそれほど豪胆でもなければ、多情でもない。メンタル的に言えば極々一般的なメンタルしか持ち合わせていない小市民やから。
内容が内容だけに少し軽い雰囲気で言葉を結ぶ俺。但し、当然のようにソレだけが理由ではない。
彼女たち……夜の貴族たちは契約を交わした相手の状態を、相手の血を口にする事でかなり精確に知る事が出来る。
特にそちら方面に関しては詳しく。
流石に、そう成る事が……知られる事が分かって居て、それでも尚、旅の恥はかき捨て。据え膳喰わぬは何とやら、とばかりに有希を抱ける訳はない。
二十一世紀の日本人からするとそれほど間違った認識とは言えないが、中世ヨーロッパの貴族からすると、かなり失格に近い答えを返す俺。
当然……。
「私の事なら気にする必要はない」
今のあなたは次代のガリア王。王や貴族の重要な役割は次代に自らの血を繋ぐ事。
予想通りの答えを返して来るタバサ。
確かにタバサの言う事には一理も二理もある。ジョゼフと交わした約束が果たされるまで。少なくともこの聖戦が終わるまで俺がガリアの王太子である事は間違いない。
……と言うか、今のジョゼフが前世の彼と同じ存在ならば、俺が望むのなら、そのままガリアの王にでっち上げられて仕舞うのでしょうが。
そう、今回の人生でタバサがどう言う教育を受けて来たのか分からない。しかし、前世の彼女に対する教育の基本は、ガリアの王妃となる女性に対する教育が為されていたのは間違いない。
前世の俺の母親の出自と、両親の結婚の経緯。更に、当時のガリアの国内事情から推測すると、その辺りは間違いないでしょう。
その場合、おそらく寵姫や公妾……後宮が置かれる可能性を考慮して、無暗矢鱈と嫉妬深い女性となるような教育は為されていないはず。
そもそも前世の俺はガリア王家との密約により、蒼髪の男の子が産まれた場合はジョゼフ王の息子として差し出される事に成っていたのだが、何故、そのような密約がロレーヌ家とガリアの王家の間で交わされて居たのかと言うと、それはガリアの王家に何故か子供が産まれ難くなっていたから。
その状況で後宮が置かれない事の方が考え難い。少なくともガリア王家や前世の俺の両親たちが、子供が産まれ難く成っている理由が、世界を混乱させようとしている邪神の悪意に因って因果律を歪められた結果だ、などと言う事が分からない以上、古より続く血筋を絶やさない方法を選ぼうとするのは当たり前。
その時、もし王妃と第二夫人が色々な理由から争うような状態となれば、最悪、国が傾く可能性さえ存在するから。歴史上、そう言う争いの果てに国力を弱め、滅んで行った国も多く存在するのだから。
流石にそうさせないように、前世のタバサに対して王妃となる教育を施していたはず。
ただ……。
何
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