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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十四話 イゼルローンにて(その4)
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「はい」
「あの男は自分が卿に及ばないと言っていたな」
「はい」

確かに俺に及ばないと言っていた。しかし本当にそうなのか、分からないところだ。……それにしても妙な感じだ、オフレッサーは面白がっているわけではなかった。俺を見て何か考えている。リューネブルクを見たが彼も困惑している。俺とヴァレンシュタインを比較でもしているのか?

「あの男は手強いぞ」
「……」
そんな事は分かっている。あの男は間違いなく手強い。用兵家としての力量はミュッケンベルガーなどよりはるかに上だろう。だがその後に続いたオフレッサーの言葉は意外なものだった。

「用兵家としての力量以前の問題だ」
「……」
用兵家としての力量以前の問題……、どういう意味なのだ? 大体オフレッサーに用兵家としての力量以前の問題と言われてもピンとこない。

「あの男は誰かのために命を投げ出すことが出来る。そしてあの男のために命を投げ出す人間が居る……。そういう男は手強いのだ、周りの人間の力を一つにすることが出来るからな」
「……」
あの二人の姿を思い出した。ヴァレンシュタインを必死でかばった二人……。

「卿にそれが出来るか?」
「……」
「卿とあの男の勝敗は能力以外のところでつくかもしれんな……」
オフレッサーが溜息を吐いた。俺はただ黙ってオフレッサーの言葉の意味を考えていた……。


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