第二章
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その目でだ。私は友人達に語った。
「この町を変えられる位の人にね」
「何か言うわね。そういう人がいいっていうのね」
「そういう人と付き合いたいっていうのね」
「そうよ。誰がいるかしら」
私は尋ねた。
「本当にそういう人が」
「探せばいるんじゃないの?」
友達の一人がまた私に言ってきた。
「そういう人もね」
「いるかしら」
「何なら今から飲みに行くけれど」
バーに。行きつけのその店にだ。
そこで見つければどうかと。そう言うのだった。
「果たしてどうかしら」
「いるかも知れないじゃない」
「ひょっとしたらね」
「じゃあ期待しないで待ってるわ」
私は本当に期待していない感じで微笑んで。そしてだった。
彼女達に応えてだった。彼女達と一緒に店に入った。
バーも町と同じで今までと変わらない。薄暗く演出された店の中に白く丸いテーブルが幾つも置かれていて黒いカウンターには洒落た椅子が並んでいる。
そのカウンターの向こう側には洒落た黒いベストに蝶ネクタイ、それに口髭とオールバックのバーテンダーが色々なボトルを背にしてカクテルを振って作っている。下からの薄明かりでそうした姿が浮き上がっていた。
音楽はサックスだった。ジャズのそれを聴きながら私達は空いている席に座って。そしてそれから。
カクテルを注文してクラッカーをあてにして飲みだした。その中で。
私はそのカクテル、ブラッディマリーを飲みつつ述べた。
「お酒もね」
「美味しいわよね」
「この店のお酒って」
「ええ、ただね」
言いたいことは決まっていた。その決まっていることを言った。
「その。危険な相手はね」
「それねえ。何かね」
「いないわね、どうもね」
「皆それぞれ格好いいけれどね」
今店にいる男達は確かに皆それなりに整ってる。顔立ちもスタイルも。
ファッションも。本当にいい。けれどだった。
誰も彼も同じの。アンドロイドだった。本当に見事な位。
そのありきたりのクローンみたいな彼等を見て。また私は言った。
「こういうのが嫌なのよ」
「そうなのね。皆同じっていうのが」
「そういうのがなのね」
「ええ、だからまた言うわ」
言うことはここでも同じだった。
「個性的な。危険な相手がね」
「そうした相手が欲しいのね」
「彼氏が」
「何だったらね」
ここからは思わせぶりに、自分で自覚して述べた。
「女でもいいけれどね。相手は」
「言うわねえ。レズビアンってやつ?」
「そっちに走るっていうのね」
「ひょっとしなくても」
「いなければね」
そうした男がこの世にいないのなら、殆ど本気だった。
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