Extra edition
忘れられない誕生日
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「ん……。」
カーテンの隙間から差し込む太陽の光が、まだ寝ぼけてはっきりしていない顔に当たる。
僕は、その光が眩しいからか逃げるように顔の向きを変え、もう1度寝に入ろうとした。
その時、聞きなれた可愛らしい声が廊下から聞こえたと思った瞬間に扉が勢いよく開かれ、1人の少女が飛んできた。
「お兄ちゃん、起きて!」
「ん……もう少しだけ寝る……。」
僕は、自分の上に乗って抱きついて起こしてくる妹の美琴にそう言うと夢の中へ行こうとする。
「む……お兄ちゃん!お・き・ろー!」
そう怒鳴ったと同時に、美琴は湊から離れて距離を取ってから勢いよくお腹にダイブしてきた。
「うぐ……!」
僕から変な声が聞こえ、美琴からは楽しそうな声が聞こえる。
「起きてくれないと、またやるよ?」
「お、起きる…!起きるから止めて…!」
美琴が笑顔で言ってくるため、湊の顔はどんどん青ざめていった。
僕が服を着替えている間、美琴はベッドに座り「まだかなぁ…」と僕を見ながらボヤいていた。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「ん?」
美琴はあと少しで着替えが終わる僕に話しかける。
「あ、あのね……その……。」
顔を赤くしながら話す美琴に、僕は頭に?マークを浮かべつつ、シャツのボタンを止める。
「ちょっとこっち向いて…?」
「え、うん。」
ボタンを止めて着替え終わってから、美琴が座る隣に座った。
「どうしたの?みこ……」
僕の言葉は美琴の行動で途絶えた。
美琴の行動、それは抱きついてきた事だった。
だが、湊本人は起きる時にいつも抱きつかれているためあまり気にしない。
「美琴?どうしたの?」
「ばか……!」
「え!?」
美琴は何故かいきなり怒り、僕の胸をドンドン叩く。
──結構、痛いんだよなぁ……あ、そうだ。
今もドンドン叩く美琴を見て、おる事を思いついたため微笑んで実行してみた。
「美琴。」
「え……にゃ!?」
──美琴って頭撫でられるの弱いんだよね〜。
僕は美琴の頭を撫でながら、わざと耳元で名前を呼んだ。
美琴は猫のように「にゃ〜」と気持ちよさそうにしつつも、チラチラと僕の満足そうな顔を見て顔を赤くしていた。
「さて、そろそろ母さんの所に行こっか。」
「にゃ……う、うん。」
少し美琴が名残惜しそうな顔をしていたことに、湊は気づいていなかった。
そして、美琴自身も気づかない内に湊に恋心を寄せている事が分かるのはもう少し先の話だった。
湊の部屋を出て、2人は廊下を通り階段を降りていく。
いい香りがリビングだけでなく廊下にまで広がり、まだ朝食を
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