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はカナメの「耳」から鳴った。
「何を人の耳で喋ってんの? 器用なことしてんじゃないわよっ」
「うふふふふふふふふふふ、相良さん、私を元の場所に連れて行って下さい、まだ止める方法はあります〜」
「だ、誰だ?」
カナメの耳を使って喋る化け物、その声にソースケは聞き覚えがあったが、毎夜オムニスフィアから囁く声とか、一度だけ救助した少女の声を覚えているほど記憶力は優れていなかった。
「嫌ですね〜〜、貴方の恋人、久壇未良ですよ〜〜、王子様〜〜」
要救助者氏名で閲覧したが、この声の種類や出現方法は、会話してはならない人物だと一瞬で判断できた。
壊れた時計のように、テロの被害者だった人物が、短針より長針が早く回るように、すぐさま発狂して、周囲の人間も壊しながら自分も破滅する種類の人物で、清潔とは程遠い人種の声だった。
「あ〜た〜し〜も〜い〜る〜わ〜よ〜〜〜」
今度こそ地獄の亡者の声で耳から発声し、左右の耳から脳を乗っ取られたカナメも発狂した。
「ぎいやあああああああああっ!」
まず人差し指で脳を突こうとして、耳の穴に阻まれて届かないので、小指で試したが強度が足りず折れた。
「さあ、早く元の場所に〜〜」
「ソースケ〜〜〜」
「ぴぎゃああああDZLFはWりおHYぎDGFSりあ;FJW::@AFHUぱうっ!」
死霊に汚染されていく脳と体を感じて暴れるカナメ。それを両耳?に要求された通り、お姫様抱っこしてエンガチョしながら元の装置の中に放り込んだ。
「ばいらてらるかくさんてんご〜〜、TAROSきんきゅうしどう〜〜、あははははははははっ!」
もうカナメ本体は白目剥いて、口から泡まで吹いて失神しているが、幽霊とゾンビに操られてガックンガックン気持ち悪い動きで必要なチューブ類を接続して装置を再始動させた。
「「せかいをっ! かくめいするちからを〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」」
その装置の中心から、世界が黒く腐って行くのを感じた宗助は、大地震の中をレーバテインまで急ぎ、ASを緊急始動しようとしたが、地面からの噴火に押されて間に合わなかった。
「くっ、ここまでかっ!」
終局噴火の数千万倍の、すでに火山とは呼べない爆発の中、一瞬ラムダドライバが作動したが、それも光とも爆発とも言えない凄まじい音の中に埋もれて行った。
その巨大な破壊を追うように波が起こり、未来も過去も書き換えられて行った。
ブラックテクノロジーが存在しない世界、ウィスパードもオムニスフィアに接続できる超人もいない、平和な世界に。
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