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トゥアハー・デ・ダナン
深海を航行する強襲潜水艦トゥアハー・デ・ダナン、ソースケの装備なども整えられ、発進間近の艦内。
上空では対潜哨戒機まで飛び、発見されればホーミング魚雷や旧式の爆雷など、虫けらでも踏み潰すように沈められる。移動する要塞も、天敵にだけは弱い。
「一番発射管開け、目標、上空の対潜哨戒機、発射」
「発射」
居場所は知られるが、まず目先の敵を落とすため、対空ミサイルが発射された。対潜哨戒機が近くに複数いたり、駆逐艦に包囲されれば終わりであるが、地上装備は充実しているアマルガムも、何故か水上装備と航空兵力だけが欠落していた。
「着弾、目標ロスト、撃墜したものと思われます」
アマルガムの数少ない航空兵力を減らし、首の皮が繋がったデダナン。
アマルガムもベヒモスなど無駄な兵力に予算につぎ込むより、最新のソナー装備の安い魚雷艇でも複数用意し、対潜哨戒機から連絡でも有り次第、ホーミング魚雷で飽和攻撃すれば勝てたものを、余程海軍と仲でも悪いのか、この海域まで出張してくれる駆逐艦も無く、上陸を許そうとしていた。
「サガラ軍曹をブリッジに出頭させて下さい」
「アイ・マム」
出撃前、コンセントレーションを高め、まるでレース前のレーサーのように、目がイって集中していた部隊の中から、ソースケだけが出頭を命じられた。
艦長であるテッサからの命令だったので仕方なく応じ、少女らしく今生の別れでもするつもりなのかと思ったが、集中を切られて迷惑とさえ思ってしまうソースケであった。
「相良軍曹、出頭しました」
敬礼し、不動の体制で待つと、まずマデューカスに声を掛けられる。
「サガラ軍曹、艦長殿をレディチャペルまで護衛する任務を命じる。但し、余計な事はするな? 日常会話、挨拶までを許可する、肉体的接触は許さん。もし違反した場合は……」
「サー!イエス・サー!」
いつものように舐めるように近寄ってきて、キスや手をつなぐと言った、子供の接触さえ禁じる副長。続きは効かなくても違反すれば「君を300キロの爆薬とともに発射管から射出するつもりだ」と言われるのは理解していた。
「サガラさん、ではお願いしますね」
以前カナメを連れて、乗っ取られた艦内を逃げて、艦長室から鍵を出し、連れて行った謎の部屋。
操艦を握れる場所だったようだが、当然のように「君には知る権利がない」と却下され、何のための場所かは教えてもらえなかった。
「それでね、カネメさんと歩いてると、私がパイプにぶつかってしまってコケてしまったんですよ、うふふっ」
何故か過去の楽しい話しかしないテッサ。蒼白な顔面やリップの下に見える青い唇には気付いたので、本当に貧血で倒れてしまわないか友人としても心配し、少女の決意の一部を知らされた。
「大佐殿、いや友人として
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