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の死者や数億人の中国人難民が存在しない、平行世界を夢見た者が言い遺した、それこそが本来の歴史」なのだよ」
あまりに荒唐無稽だったが、カリーニンの迫力と本気の表情に押され、現実離れした自分の思考力とブラックテクノロジーの知識を動員すると、平行世界も存在し、ウィスパードなり「預言者」の類に薬物を投与して、リーディングなどでアカシックレコードに接触させ、星の図書館やブラックテクノロジーにアクセスし、異世界なりこの世界の本当の歴史を調べさせれば良い、その薬物が後遺症もなく、安心して使用できるなら自分で使って歴史を調べても良いと思った。
「それ、私にも見れます?」
「残念ながら、これを見た預言者は脳神経が焼ききれて死んだよ。この世界の歴史を記憶している図書や星の記憶ではなく、異世界の歴史書を調べたのだから、当然のように脳が破壊され、狂死する所を安楽死させた」
ミスリルには絶対にできない非人道的行為で、志願者か金銭によって契約して、遺族に大金が渡るよう手配して死なせたのだと理解した。
「そう、なんですか……」
もし東西陣営の核戦争によって、人類が滅びるような歴史なら、書き換えを断固拒否して自殺でもする。
しかしそれが数千万の死者が存在しない世界、数億人のロシア人と中国人が難民と化し、現在も流浪の生活をしていない世界が存在するなら?
もし国外に逃げられたり、レイプされたとしても生きているものはまだ幸せで、飢餓の中で草の根を齧ってでもまだ生きている者、奴隷として売られた者、食料にされる順を待つ者よりは、命だけでも永らえている分幸せなのだと思えた。
「君も知っているだろう? 難民キャンプでは公然と人肉の塩漬けが市場に並び、奴隷商人が子供も少年少女も売る、そして「使い終わった」者は分解されて西側に臓器として出荷され「部品取りした廃品」はスナッフビデオにでも出演する、見てみる勇気はあるかね?」
「やめてっ、見せないでっ、触らせないでっ」
そんな恐怖が接近してしまったので、カナメの恐怖はオムニスフィアに接続してしまい、現実に行われた悪魔教徒より酷い惨劇を垣間見せた。
「いやっ、イヤアアアアアアアアアッ」
英語で会話していたカナメは、日本語で悲鳴を上げた。嘔吐し、泣き叫び、被害者に同化してしまって狂い、その痛みを分かち合った。
かなり長い時間、カリーニンは待ち続け、カナメが回復するのを待った。
「続けて構わないかね?」
「は、はい……」
吐くものが無くなり、水を飲んでも吐き、また飲んで吐いたが、接続を切られて恐怖や苦痛が去って、嘔吐感にも終わりが来た。
「私にも妻と息子がいた。「本当の歴史」ではどうなっているかは分からない。それでも国を離れてからも、祖国や別れた妻を心配するのは理解して欲しい。知人を頼って祖国の現状を知ろうとし
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