暁 〜小説投稿サイト〜
ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-4 出撃!花の華撃団
[6/11]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
る。しかもさっきから笑みさえ浮かべているから、それがまた自嘲じみたものに見られ、何か彼に深い事情があることを思わせてしまう。
「ルイスさん…」
しかしそれを尋ねようとした途端、ルイスはまるでそれをあらかじめ悟ったかのように、話を切り替えてきた。
「あ、ジンさん。あのあたりがよいのではありませんか?」
「え、あ…あぁ…」
ルイスが指をさした方向に自然と目が行く。他よりも大きめの桜の木が、花びらを多く散らしながら佇んでいる。その根元は、シートがなくても腰を掛けるのにちょうどよさそうな綺麗な芝生が生い茂っている。
「確かに、ここならちょうどよさそうです。ルイスさん、すみません。これは僕が頼まれてたことなのに」
「いえ、これも花組の方々へのささやかな恩返しのつもりです」
礼を言ってきたジンに、ルイスは謙虚に断りを入れてくる。すると、彼の顔がさっき一瞬だけ見せた、憂いを含めた笑みに変わっていた。
「私たち奏組は、花組の肩と違って霊力が低く、量子甲冑を稼働させることができない。だからごく小さくて弱い降魔しか倒すことができません。
量子甲冑を扱えるあの方たちは、さらに強力な敵を倒すことができる一方で、その分この先も数多くの苦労を背負うことでしょう。ですから、こうして少しでも、彼女たちの戦いの負担を減らして差し上げたいんです」
「ルイスさん…」
「すみません、最後に愚痴っぽくなりましたね」
苦笑交じりにルイスはジンに謝ってきた。いや、とジンは一言だけ気に留めていないことを伝える。この人、笑みを見せてなんでもないふりをしている。光武に乗れない、操縦できない。その苦悩を彼は抱え込んでいると、ジンは読みとった。もしかしたら、新たに赴任してきた大神に対しても内心では劣等感を覚えているのではないだろうかとも予想した。
そのときだった。
「うああああああああああああ!!」
その叫び声と共に、上野公園は再び混乱に陥ることとなる。
その時、ジンたちと同様、この上野公園に派遣された者がいた。
黒之巣会の死天王の一人、蒼き刹那である。
「天海様の命令通り、目的の場所に着いたな。にしても、全く…」
到着早々、刹那はいかにもイラつきを感じているのか、深いため息を漏らす。
「花なんか見ただけで、なんでこうもギャーギャー騒ぐんだろうなぁ。人間の考えることなんてわからないよ」
この刹那という少年に人間の感性がまるで理解できなかった。彼にとって興味があるのは、そんな『ありきたりでつまらないもの』ではない。彼が求めているのは常に、人の苦痛と恐怖に満ちた声と表情だけ。故に、この花見の景色とその喧噪はあまりにも耳障りかつ目障りだった。
「まぁいいさ。ここで適当に脇侍を暴れさせてしまえば…それで僕の欲は満たされる。まずは…手筈通り…」
刹那はニヤッと冷酷な笑
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ