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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-4 出撃!花の華撃団
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下される。辞表を出してきやがったらその場で破り捨ててやるぜ」
米田はどこか意地の悪い笑みを見せてくる。その顔を見てジンは、悪い大人の顔をしていると思った。大神にあえてこの帝劇の秘密を隠したのも、大神をいじってやろうとでも思った意図があるのではと疑わされる。
しかし大神が、米田とあやめが求めていた、霊力を扱える男性にして海軍を首席で卒業するという貴重な人材なら、本人が辞職を希望しても手放したくない。帝都の危機はそこに生きる人たちの共通の脅威だというのに、いまだ自分たちの財産の心配ばかりする賢人機関のために解散命令を下されるなんて、とても許せる話じゃない。
「それはそうと、お前はこれから上野公園に行け。お前が大神とさくら、あの二人と始めて会った場所だ」
「あそこか…」
椿と一緒に大神とさくらの二人と出会った、あの公園か。桜の木々がとても綺麗に、かつ満開に咲いていた場所だ。花見の場所としてはちょうどいい場所だ。
「場所はもうわかるな?」
「大丈夫です。記憶がないからって、物覚えが悪いわけじゃないですから。
それじゃ、行ってきます」
上野公園は、大神とさくらの二人と出会ったときと同じく、満開の桜であふれていた。まだ緑化も進んでおらず、風に吹かれて散っていく桜吹雪が美しく、見るものすべてを魅了する。あの時、脇侍が現れて大騒動になったのが嘘のようだった。
すると、足元に一個の丸い鞠が転がってきた。子供たちが転がしてきたものが来たのだろう。ジンはそっとそれを拾うと、幼い少年が彼のもとに駆けよってきた。この子のものだろう。彼は黙ってその鞠を手渡した。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
少年はジンにお礼を言って走り去っていき、ジンは手を振ってその子を見送った。
少年は友達と思われる他の子供たちと合流すると、きゃっきゃっと騒ぎながら走り回って友達同士で遊び始めた。それを見て自然とジンは微笑みを浮かべた。
そういえばあの時、トラと呼ばれた子供を庇おうとした自分は赤い巨人の力の片鱗を発現させて脇侍を退けたが、大神とさくらの二人がいなかったらまずかったかもしれない。
米田のことを悪く言われて頭に血が上っていたかもしれない。あの人は純粋に、誰かのために頑張りたかっただけだ。それだけに、大神の器を見極めるためにあえて嘘をついた米田に対して怒りたくなるのも、考えてみれば何も知らされなかった彼の立場から考えてみると当たり前のことだ。
(帰ったら謝っておこうかな…)
米田に対しては強く恩を感じているだけにあの時は大神に対してもつい苛立ちを感じたが、それはお門違いだと改めて思い、ジンは戻ったら大神へ謝罪することにした。
…と、今は下見に来ていたんだったな。気を取り直して彼は、花組の皆が花見を楽しめそうなスペースを探し回る。
「うわっ!」
「おう!?」
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