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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-4 出撃!花の華撃団
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「米田ジン、呼び出しを受けてまいりました」
「おお、来たか」
支配人室に入って敬礼するジンを、米田は歓迎した。
「どうだ?大神の奴は」
「……」
米田からの問いかけに、ジンは無言だった。表情も険しい。米田はそれを見て尋ねてみる。
「おぅ、どうした?大神の奴が俺に対して文句でも言ってきたか?」
「…ええ」
「ほぉ、大当たりってわけか」
自分が悪く言われているのを予測しておきながら、ジンの不機嫌な顔を見て米田は笑っていた。
「米田さん、自分がどういわれているのかもわかっててあんな…」
この帝劇が、魔の存在から人々を守る組織『帝国華撃団』の本部であることを隠す。その理由は大神が真にこの帝劇を愛せるかを見極めるための措置だが、軍人として堅物すぎる彼がこちらのことを誤解するのは目に見えていた。理解したうえでやっていたのか、そのつもりでたずねようとすると、米田は笑ったまま答える。
「馬鹿、部下の文句や悪口の一つや二つ、いちいち気にしてたら軍人何ざやっていけるわけねぇだろ」
いわれてみればそのとおりだが…ジンは誤解したままとはいえ米田を悪く言われたことが気に食わなかった。
「ま、んなことより…あいつは他に何か言ってなかったか?」
「近いうちに、帝劇を辞めると」
「辞めるぅ?」
耳を疑ったのか、米田は呆れたような声を出す。
「当てはないと言ってましたが、海軍のつてをたどって身の振り方を考えるおつもりのようです」
「ったく、敢えて何も知らせてなかったとは言え、海軍首席卒業のくせして馬鹿だねぇ。他になにか言ってなかったか?」
「他に、ですか?」
「おう、この帝劇のことについての不満とかだ。つまらねぇプライドでも口にしてたんじゃねぇか?」
米田は話を聞く限り、大神が残念ながら花組の隊長として、最も持っておかなければならないものを持っていなかったと、捉えつつあった。
ジンもそう思えてきた。あの人では…と思いかけたとき、思い出した。ひとつだけ、彼が好感を持てるような言葉を口にしていたはずだ。
「一応、この帝劇のみんなが安心して舞台に励むことができるようにするためにも、とおっしゃってました」
「ほぉ…」
それを聞いて米田は、さっきと打って変わってほくそ笑む。それを聞きたかった、とでも言いたげな満足げなものだ。
「それより、米田さん。僕に何か用があったんじゃないんですか?」
「おっと、そうだったな」
わざとらしく気を取り直す言葉をいい、改めて米田はジンに向き直った。
「これから大神の歓迎も兼ねて花見の下見に行ってもらおうと思ってんだ」
「迎え入れるんですか?あの人、辞めるつもりなのに」
「辞めさせるかよ。この帝劇をなんだかんだで、大事に思ってくれていることがわかったし、なにより俺たちは次の戦いで戦禍を出せなかったら解散命令が
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