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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-3 ジンと大神
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うのか。
「あの見回りの日、新聞で降魔と赤い巨人の戦いを記載した記事があっただろう?俺はこの国を守るために士官学校の訓練をがんばってきた。
この国を守るのは、本来この国の人間でなければならないと思っている。だから、あの赤い巨人のような正体不明の存在に、帝都の人々が頼りにし、よりどころにしているのは好ましく思えない。それは米田支配人が百も承知していたはずだ。
だからいても経ってもいられなくて…一昨日米田支配人にかけあったんだ。軍に戻してくれ、と。だがあの人は酒を片手に…」
『俺はもう軍を辞めた身なんだぜ。もう殺し合いなんざまっぴらだ。
そういうのはお偉いさんどもに任せとけ。俺たちにできることなんざ何もねぇからよ』
おそらく、当初の方針通り大神を試すために一芝居を打ったための虚言だろう。この帝劇の正体を知るジンはすぐに、大神が気づいてないことを察した。
さらに大神は続ける。
「あの人はかつて陸軍きっての戦略家と呼ばれていた名将だったんだ。それなのに…降魔の脅威にさらされておきながら、かつての自分の行いを忘れ、人事のように昼間から飲んだくれて…正直、幻滅したよ」
「………」
役職も階級も、士官学校を首席で卒業したこともどうでもよく、平和のために働くことができることが純粋に喜ばしかった大神にとって、米田が彼の前で取った態度が許せなかった。
…だが、それはジンも同じことだった。いくら大神が何も知らされてないとはいえ、恩人である米田のことを悪く言ってきた大神に向けて、怒気を混じらせた声を発した。
「…大神さん、あなたは米田さんのことを何も知らないからそんなことがいえるんです」
「何?」
大人しげな口調から一転して、強気な姿勢と態度で自分を見てきたジンに、大神は彼を見る。目つきが、まるで歴戦の戦士のごとく鋭くなっていた。
「降魔戦争、圧倒的力と数を誇る降魔を相手に、あの人は自ら前線に立って帝都を救おうとした、数少ない戦士の一人だったんですよ」
「なに…!?」
「しかし、降魔戦争であの人は守りたかった帝都の人たちも、仲間も、何もかもを失ってきました。それでも帝都…いや、この地球の人類のために、あの人は命がけで最後まで戦ってきたんです」
記憶を失う前の自分もまた、米田たちと共に戦ってきたからなのかもしれない。今は記憶はなく、今話した情報も米田とあやめからの受け売りだが、ジンは強く確信していた。
「そんな馬鹿な!嘘だ…米田支配人は一言もそんなことを言ってなかったぞ。それに降魔戦争の文献にだって、そんな記録はなかった!米田中将が、前線で戦っていたなんて…」
信じられない様子で、大神も反論する。降魔戦争について、士官学校でも学んだことがあるし、ほんの8年前のことだから、まだ記憶に新しく、帝都はおろかこの日本では過去に例を見せていない最
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