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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-3 ジンと大神
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いそうなほどの激流をあふれさせる水のように湧き上がっていく。
「俺は、この赤い巨人のように…人々のために戦うことさえもできないのか…本当は俺のような国の軍人が平和のために戦わねばならないはずなのに…俺はいったい、いったいなんのために海軍を卒業したんだ!!!」
我を忘れた大神は、ついに新聞を床の上に叩きつけて怒りをぶちまけてしまう。こんなことをして、どうにもならない。そんなことわかっている。だが…そうとわかっても、何かに当たらずに入られなかった。
ジンとさくらは、大神の怒りの怒鳴り声に思わず身を強張らせる。大神は自分の発した怒鳴り声を認識すると、自分の顔を覆って自己嫌悪に陥る。
「…すまない二人とも、つい大声を出してしまった」
「…いえ、いいんです。大神さん。あたしは気にしてませんから…」
戸惑いが露になっていたさくらだが、少し慌てた様に両手を突き出して首を横に振った。
ジンは、背を向けたままの大神から、彼が今の自分に強いもどかしさを覚えているのを感じ取っていた。
「じゃあ、俺はそろそろ部屋に戻るよ。一応一通り帝劇内を見て回ったから…」
重苦しいオーラを背中から発しながら、大神は自室へと戻っていった。
「大神さん…」
すぐにでも、この帝国歌劇団こそが、彼が求めていた戦いができる『帝国華撃団』そのものだと言えば、きっと彼は元気を取り戻す。…しかし、米田はまだ大神に明かしてはならないと、大神を除く帝劇全員の面々に口止めしている。
軍人というものは、自国のためなら命を捨てる覚悟も求められる。しかし花組の隊長は、人の命を勝利のために犠牲にするような戦いを繰り返してはいけないのだ。
大神が花組の隊長としてふさわしい器…ただ戦い部下の指揮を執るためだけの隊長ではなく、この帝劇の日常を愛するにふさわしい男かどうかを見極めるために。
そうでない場合は、『大神にこの帝劇を好きになってもらう』ことが必須だった。
そこで次の日、ジンはモギリの仕事を終えた後、大神に一緒に舞台を見るように促した。
この日もすみれとマリアを主演とした椿姫の夕。
元々興味を抱いてなかった大神だったが、すみれの普段のわがままお嬢様っぽさ、マリアの冷たいオーラからは想像もつかない見事な演技力に強く惹かれていく。
クライマックスも経て幕を閉じ、この日も大盛況だった。
「どうですか、大神さん?」
ジンはこの日も成功して安心し、横にいる大神を見る。
「…すごいよ。彼女たちの舞台にこんな力があるなんて…」
大神は、涙を浮かべながら拍手していた。
内心では、男であり軍人でもある大神は、女子供の大衆娯楽だと、どこか小馬鹿にしているところがあったと思い、実際に見てもいないでそのように決め付けていた。だが彼女たちの椿姫の夕のクライマックスが近づくにつれ、最後の悲しい結末を見て
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