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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-3 ジンと大神
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か。彼は帝国歌劇団の単なるモギリにされていることに相当不服なのが丸わかりだ。
「どした?」
通りがかってきた米田がジンを見つけ、近づいてきた。彼が見ている窓の外の路地裏を見ると、大神が雨に濡れて悔しがる姿を見つける。
「…米田さん、本当にこれでいいんですか?大神さんに、僕らの本当のことを話さないままで」
さくらには一応ああ言っておいたのだが、これでは大神がかわいそうじゃないか。そう思えてきたジンが米田に言う。
「少なくとも彼は帝劇の仕事を放棄するような人じゃない。それがわかっただけでも、十分じゃ…」
だが米田は真剣な険しめの表情を浮かべる。
「いいや、仕事をこなす程度で勤まるものじゃないんだ、俺たちは。お前だって、記憶を失っているとはいえ、あの馬鹿でかい降魔共と戦って見てわかるだろ?
花組の隊長に必要なのは、もちろん実力は必要さ。けどそれだけじゃねぇ…」
「この帝劇に対する愛情も必要…でしたよね」
「おお。けどこの程度じゃあまだその愛情があるとは言えねぇよ。ましてや、ゴミ箱にあ八つ当たりしちまう内はな」
窓の外で、自分が蹴っ飛ばしたゴミ箱を見下ろす大神を見ながら米田はそう言った。
「けどま、俺もこのまま冷たく試し続けて、せっかくの人材を手放すのも、ちと間抜けな話だって思うからな。ジン、そこはお前がなんとかしてやってくれ」
「僕がですか?」
どこか丸投げしているようにも聞こえる言い方であるが、米田は自分から大神のために動くわけにいかない理由を明かす。
「俺は司令官って立場にあるし、それにちと野暮用も多くてな。大神をここに留めるために俺がでしゃばるわけにもいかねぇだろ」
「それは、まぁ…」
「まぁ心配すんな。あいつは山崎よか聞き分けがいいはずだ」
「山崎…山崎さんのことですか?」
米田の口から聞くと、おそらく米田とあやめ、そして今は亡きさくらの父『一馬』と同じ対降魔部隊の一人だった男の名前だと気づく。
「まぁな。あいつは一馬とは違った方向ではあったが、真面目で一途な奴だったからな」
「……ゆえに、危なっかしいところもある人だった」
「…ッ」
米田は目を見開く。その視線に気づいて、ジンは少し苦笑いを浮かべる。
「なんとなく、そんな風に言ってきそうな気がしました。顔も思い出せていないんですけどね」
「こいつは、思わせぶりなこと言いやがって…」
てっきり記憶が少しでも戻ったのではと期待したが、そうでもなかったらしい。いたずらっぽい笑みを見せてきたジンに、米田は少し恨めしさを混じらせた笑みを返した。
「とりあえずジン、明日暇になったら大神の奴を手伝ってくれ。大道具の修繕と厨房の買出し、ついでに酒屋で俺の酒もな」
「お酒くらい、帰り際に自分で買ってくださいよ…」
ため息を混じらせながらジンは言い返した。
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