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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-3 ジンと大神
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に」
ついにはしびれを切らして前の人たちを抜こうと、列を乱そうとする人もいる始末だ。
「お客さま、いけません!列を守って…!」
彼らは銀座界隈を取り仕切るギャング団の三人組だった。ジンが慌てて客を引き留めに入労としたとたん、同じくそれを見かねた大神がジンよりも先に飛び出す。
「こ、こら貴様!何をしている!!」
だが、言い方がまずかった。卒業したばかりで海軍時代の名残からか、彼はついそれらしい高圧的な口調でギャングたちに突っかかってしまう。当然これに、ギャングのような乱暴な者が癇に障らないはずがない。
「このウスノロモギリ!俺たちは客だぞ!その客に向かってその態度はなんだ!」
「貴様らこそ、列を…!」
「大神さん!!」
互いに反発しあうギャングと大神の間に、ジンは強引に割って入った。そして客のギャングのほうに向き直り、必死に頭を下げながら謝罪する。
「すみません!この人、今日入ってきたばかりの新人の方なんです。多めに見てあげてください。…ほら、大神さん、謝って!」
「も…申し訳ありま…せん」
ジンはすぐに大神の背中を軽くたたき、謝罪を促す。大神もとりあえず頭を下げて謝ったが、その表情は完全に納得のいっていない様子だった。
だが、さらに大神を追い詰めるような声がとどろく。
「あ〜この兄ちゃん新入りだろ!切符の切り方も知らないでやんの!」
大神の切符切りの拙さを見て、すぐ近くの子供が指を刺して笑ってきた。大神はギャングたちからの応対に続いて子供の生意気な言葉に内心、なんて生意気なガキなんだとカチンときた。いっそ睨み付けてしまおうかとも思ったが、相手は子供で自分は大人、それも海軍少尉だ。なんとかぐっとこらえた。
「こらこら坊や。大人に向かってそんなこと言っちゃだめだよ。切符だよね。僕が切るから貸して」
大神が内心怒っているのに気づいたジンは、やんわりと笑みを浮かべながらフォローに入る。大神がまだギャングともめたことでのほとぼりが冷めていないので、自らが代わりに切符を切るのだった。
モギリの仕事を一段落させた後、大神は帝劇の裏で、ゴミ箱を乱暴に蹴った。
「なぜだ、なぜ俺がこんなことをしなくちゃならない!」
誇り高い軍人として、彼は士官学校で厳しい訓練を潜ってきた。その甲斐あって首席で卒業することができた。それだけ頑張って来たのだから、それに見合うだけの場をもらい、この国の平和のために戦うことができる。そのはずだった。
それなのに…劇場のモギリだと?客として来た子供やチンピラからも馬鹿にされるわ、やってられるか!
「俺はモギリなんかじゃない…海軍少尉…大神一郎だあああああ!!!」
大神が悔しさと怒りを滲ませた叫びを放った時、雨が降り始めて彼を濡らした。
窓からそれを偶然見かけたジン。これで本当によいのだろう
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