第三章
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「そんなのは」
「付き合ってないとっていうんだね」
「そうよ。そうした関係でないと」
駄目だと。そのむっとなった顔で告げた。
「やっぱり」
「真面目だね。それじゃあね」
「付き合おうっていうの?」
「駄目かな、やっぱり」
「デートなんてできないから」
私はこう前置きした。
そしてその前置きからこう彼に言った。
「けれど。遊びに行くのなら」
「いいよね」
「まあそれ位なら」
自分で言っていてデートと遊びに行くことの違いはわからなかった。けれどここはあえてこう彼に告げた。
「いいけれど」
「じゃあ遊びに行こう」
「具体的に何処に行くの?」
「商店街じゃありきたりだし」
彼は私が遊びに行くのならいいと言うとこれ以上はないまでに嬉しそうな顔になってその笑顔で私に言ってきた。
「じゃあ何処がいいかな」
「テーマパークとか?」
「中華街とか?」
私達のいる市にはそれもある。観光地で私も子供の頃から何度も行っている。
「そこはどうかな」
「中華街ね」
「美味しいもの一杯あるし楽しいし」
彼はその笑顔で私にさらに言ってくる。
「いいと思うけれどね」
「あそこカラオケボックスもあるし」
「そうそう、カラオケも行かない?」
右手の人差し指を立てて振って私にさらに提案してくる。
「どうかな。中華街で食べて歌って」
「それで遊ぶのね」
私は絶対に言わなかった。デートとは。
「そうするのね」
「うん、それでどうかな」
「何時にするの?」
私はあえて答えずに彼に何時中華街に行くのか尋ねた。
「それで何時二人で中華街に行くの?」
「ううんと。それは」
「私は何時でもいいけれど」
仕掛けてみた。彼に下駄を預けて決断を迫った。
「そちら次第よ」
「じゃあ土曜日にする?」
彼は少し考えてから私にこの日を指定してきた。
「待ち合わせ場所は中華街の入り口、そこで十時ね」
「わかったわ。十時ね」
「楽しみにしてるからね」
「けれどデートじゃないわよ」
「わかってるよ。一緒に遊びに行くんだよね」
「そう。それだから」
このことは自分自身にも強く言い聞かせて。そのうえで。
私は彼とデート、いや一緒に遊びに行くことにした。けれどこの時ふと気付いた。
私達はいつも学校や登下校では一緒にいる。けれど学校に関係ない時間で一緒にいたことがない、それでクラスメイト達にこう相談した。
「中華街に遊びに行くけれど」
「ああ、例の彼氏とね」
「デートに行くのね」
「彼氏でもないしデートでもないから」
私はこのことをすぐに否定した。
「ただ遊びに行くだけ
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