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歌集「春雪花」
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 夜もすがら

  溜め息つきて

    明けぬれば

 想ふも虚し

   春の夜の夢



 一晩中、彼を想っては溜め息ばかり吐いていたら…あっという間に夜が明けてしまった…。

 彼を恋い慕うことは…春の夜の夢のように虚しいこと…。

 こんなに想い求めても…彼はいないのだ…。


 どれだけ待っていようと来るはずもなく…溜め息さえも尽きようと言うもの…。



 思い出も

  春の現と

   変わりなく

 いづれ消えさる

   淡き幻



 思い出す様々な事柄…こうして振り返ると、何とも侘しく…また、寂しくなるもの…。

 彼を想い…どれほど経つだろう…。

 引っ越し支度をしながらも、彼のことばかり考えてしまう…。

 こうしていることさえ、夢現な春のように…いずれは思い出の中に埋没し、懐かしく振り返るのだろう…。


 そう考えると…全ては、いつかは消えてしまう淡い幻と思えてならない…。




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