ー破滅への序曲ー
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を前にして、思わず頬が引き攣る。 『最高ランク』の武器となれば、強化施行回数は10や20では済まない。
加えて、武器の強化は100パーセント成功ではなく、武器のステータスが下がってしまう『失敗』も確率上、存在する。 もっとも、鍛冶師の熟練度や強化素材によって、成功確率を最大95パーセントまで上げられるが。
しかし、5パーセントというハズレがあるギャンブルを何十回も連続で続けるのは本当に苦難である。
新たな相棒を任してもらえるのは鍛冶師として名誉なことだが終わった頃、私は無事だろうか……精神的に
しかし、避けては通れない道であることは明らかであり、私のいい加減な仕事が原因で持ち主が危険な目に会ったらきっと立ち直れないだろう。
ふぅ〜と大きく息を吐き、覚悟を決めるとニっと広角をあげ笑みを作る。
「……まったく。 今度、美味しいものでも奢りなさいよね」
「イエス、マム!」
「……ほんと、あんたってそういうところは調子いいわね」
「それが私のとりえだからね〜」
ビシッと敬礼のポーズをして、元気よく返事するシィに毒気を抜かれる。 他に注文がないことを確認し、素材の入った袋を片手に工房へと向かおうとした時、丸椅子に腰掛けた状態でこくりこくりと不安定に揺れるユーリが見えた。
「おーい、そこのわんこ」
「…………。」
言葉の代わりに、ぴくぴくと犬耳を前後に動かして返事をするわんこ――もといユーリ。 わしゃわしゃと撫でたくなる衝動を必死に抑え、言葉をかける。
「よかったら、そこの揺り椅子使ってもいいわよ」
「…………ん」
窓側にある揺り椅子は、ちょうど今の時間帯なら暖かい日差しが差し込み、昼寝するなら絶好の場所だろう。
本来ならば、お気に入りの場所を誰かに使わせたくないが、明日には苛烈な戦いが待っているから、しっかりと休ませてやりたいと思っただけだ。 決して他意はない。
んみゅ……と謎言語で返事をしたユーリは犬耳をへたりと倒したまま立ち上がりフラフラとしながら、揺り椅子へと移動する。 寝やすい体勢を取ると、安心したように表情を緩ませ、すぐに寝息をたて始めた。
シィはと言えば、私が淹れたコーヒーと自前のお茶請けをお供に、裁縫作業に没頭している。
「……妹や弟が出来たらこんな感じなのかしらね」
「ん?……何か言った?」
「なんでもないわよ。 さて、私も仕事しますかね!」
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