第六章
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「お酒は飲めなくてね」
「甘党か」
「そうなの、だから帰って来たらね」
「このお饅頭もか」
「絶対に食べるわ、それも喜んでね」
「そうなんだな」
「そうよ、まあお饅頭は沢山あるから」
二人は既に一個ずつ食べているがまだ十個ある、二人がおやつとして食べるには相当な量である。だから陽菜も多くと言ったのだ。
「安心してね」
「もっと食ってもいいのか」
「お父さんの分もあるから」
「そうか、しかし親父さん甘党か」
「お饅頭もお団子も羊羹も好きよ」
「羊羹もか」
「そう、きんつばとかどら焼きもね」
そうしたお菓子もというのだ。
「好きなのよ」
「成程な」
「まあ帰ってきたらね」
「その時はか」
「会ってね」
「そうさせてもらうな」
こうした話をしてだった、二人は陽菜の父が帰って来るまでこうした話をしていた。そして話をして二十分位してだった。
扉が開く音がしてだった、陽菜はその音を聞いて言った。
「お父さん帰ってきたわよ」
「そうか」
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも出てるけれど」
それでもというのだ、二人の場合は。
「二人は今は大阪の方に行ってるから明日帰って来るわね」
「大阪?」
「私の教会は大阪の教会の系列だから」
「それでか」
「そこに行ってるの、八尾の方の奥華っていう大教会にね」
そこにというのだ。
「車で行ってるの、だから帰って来るのは明日よ」
「大阪の八尾か」
「そうなの、だからいないの」
「それで今帰って来たのが親父さんってわかったんだな」
「そうよ、まあ兄弟の誰かの可能性もあるけれど」
「親父さんか」
「この扉を開ける感じはね」
それでわかったというのだ。
「お父さんよ」
「そうか」
「じゃあ会ってね」
陽菜はあらためてだ、利樹に微笑んで言った。
「今から」
「そうさせてもらうな」
利樹も応える、そして暫くして二人が今いる居間にだ、携帯の画像で陽菜と共にいたその穏やかな感じの男の人が来た。その人は自分に挨拶をした利樹に挨拶を返してから陽菜に問うた。
「彼氏さんか?」
「違うわ、ただのクラスメイトよ」
すぐにだ、陽菜はその人に無表情で答えた。
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