第四章
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「田舎饅頭がね」
「それがあるの」
「それ出してね」
「いつもの場所にあるのよね」
「そうよ」
「じゃあお菓子も出すから」
陽菜が自分でというのだ。
「お母さんは休んでね」
「もうすぐお父さん帰って来るから」
「あれっ、お父さん何処に行ってるの?」
「信者さんのお家に行ってるの」
「そうなの」
「用事があってね、山下さんのところ」
「あっ、お婆さんが脚骨折して」
「おさずけでね」
それをしにというのだ。
「行ってるから」
「いないのね」
「もう少ししたら帰って来るから」
「わかったわ、じゃあとりあえずこれの相手しておくから」
陽菜は利樹を左手の親指で指し示して母に話した。
「お母さんは家事をしてね」
「それじゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
陽菜は利樹に玄米茶と田舎饅頭を出した、自分のものもだ。それを出してちゃぶ台に座った陽菜にだった。
利樹はまずはむっとした顔でだ、陽菜に言った。
「俺はこれか」
「あっ、その言葉聞き逃さなかったの」
「忘れるか、これって何だ」
「いいでしょ、別に」
「何か気になる言い方だったな」
「気にしない気にしない、それでお母さんどう?」
「クローンみたいだな」
これが利樹の感想だった。
「それ位そっくりだったな」
「そうでしょ、けれどあれでね」
「八人のお母さんだからか」
「逞しいから」
「というかそうなったんだな」
お茶を飲みつつだ、利樹は陽菜に言った。
「八人のお母さんになるまでに」
「それで育ててもいるからね」
「そうなるのも当然か」
「八人だからね」
「戦争みたいだろうな、いつも」
「そうでしょうね、まあとにかく私達そっくりだったでしょ」
「本当にな」
「あんたの言った通りなのは確かよ」
陽菜もこのことは否定しなかった。
「実際に私達はね」
「お姉さん達も妹さん達もか」
「お母さん似なの」
そうだというのだ。
「本当にね」
「それで親父さんにはか」
「あんた本当に酷いこと言ったけれどね」
本当に親子かどうかということを言ったことをだ、陽菜は利樹に言った。
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