第三章
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「瓦で和風建築なのよ」
「そうなんだな」
「あと築、ええと三十年?」
「四十年が限界だろ」
「そろそろ改築必要なのよね」
「地震怖いな」
「実はね、まあ地震についてはね」
陽菜は日本人にとって最も恐ろしいことの一つの話もした、戦争は外交で逃れられるが震災はそううはいかない。
「気をつけても仕方ないけれど」
「それはか」
「起こらないことを祈ってるわ」
心からの言葉であった。
「正直ね」
「それはわかる、俺も地震は怖い」
「あんたマンションだしね」
「寝てる時に起きれば」
大地震、それがだ。
「洒落になってないな」
「死なないでね」
「起こらないことを祈ってるぜ」
「お互いそうね、それじゃあな」
「中に入って」
「それでお袋さん紹介してくれるんだな」
「ええ、ただお母さん人妻だから」
陽菜はこのことは笑って話した、冗談で言っていることが明らかだった。
「手は出さない様にね」
「だからそんなことするか」
「彼女持ちだから」
「そうだよ、というか人妻さんに手を出すか」
そこはというのだ。
「やばいからな」
「修羅場になるからね」
「そうだよ、じゃあ中に案内してくれるんだな」
「はい、どうぞ」
自分から家の出入り口を開いてだ、そしてだった。
二人は陽菜の家である天理教の教会の中に入った、するとだった。
教会の中は古い建築の家だった、神棚等は立派でそれがある部屋は広かったが家自体は普通だった。八人の子供がいる家としては狭いものだった。
利樹はその家の居間に案内された、するとそこには陽菜がそのまま三十歳程歳を経た様な女性がいた。
その女性がだ、利樹に笑顔で言ってきた。
「陽菜のクラスメイトですね」
「はい、豊下利樹っていいます」
利樹は挨拶として名乗った。
「宜しくお願いします」
「こちらこそ、娘がいつもお世話になってます」
「いえ、世話になってるのはこちらで」
年齢から考えて大人の対応でだ、利樹は応えた。
「本当に」
「そうですか?この娘お転婆ですから」
「いえいえ、そんな」
「お母さん、もういいから」
自分の話になるのでだ、陽菜は少しむっとした顔で二人の間に入って言った。
「お客さんだから」
「そうなのね」
「お茶は私が出すから」
「じゃあお菓子も」
「お菓子何があるの?」
「お饅頭があるわよ」
お菓子はそちらだというのだ。
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