第二章
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「いいからな」
「惚れた?」
「馬鹿言え、見たままを言っただけだよ」
「そうなの」
「ああ、見たままを言っただけだよ」
顔とスタイルのことはというのだ。
「そんなのじゃないからな、安心しろ」
「まあ私も彼氏いるし」
「彼氏持ちに惚れたら修羅場だろ、そんなのするか」
利樹もそこは強い声で返した。
「俺も彼女いるしな」
「そうなの」
「とびきり美人のな、とにかく惚れたんじゃなくてな」
「ただ見たままを言っただけなの」
「そうだよ、けれどやっぱりお袋さん似から」
「姉妹全員ね」
「じゃあ美人のお袋さんなんだな」
利樹はまた陽菜の顔を見て言った、短く折っているスカートから出ている脚もかなり見事だ。体操服の時半ズボンの後ろのラインも実はかなりだ。
「そうなんだな」
「八人のお母さんでかなり逞しいけれどね」
「それでも美人さんか」
「娘の私から見てもね、まあ天理教の女の人って美人さん多いけれど」
「へえ、それは初耳だな」
「このこと覚えておいてね」
「そうしておくな、まあとにかくそんな美人さんなら」
利樹はあらためて言った。
「一度会ってみたいな」
「じゃあ教会来てみる?」
陽菜はここでまた微笑んでだ、利樹に言ってきた。
「私のお家に」
「勧誘か?」
「違うわよ、確かに天理教のことは見て欲しいけれど」
「それでもか」
「メインはあくまでお母さんよ」
「そこまで言うのならご本人見てみろか」
「そういうことよ、どう?」
「よし、それじゃあな」
売り言葉に買い言葉の要領で乗ってだ、そしてだった。
利樹は陽菜の家天理教の教会であるその家に行くことになった。陽菜の家は利樹の家の最寄りの駅と同じ線だが彼の家の最寄りの駅から学校寄りに二駅離れていた。
その駅に降りてだ、商店街の方を五分程歩いていくとだった。瓦の屋根で広めだが古い家がありそこにだった。
天理教の分教会とある、分教会の名前も書いてあったが利樹の頭の中にはそこまでは入らなかった。
その利樹にだ、陽菜は言った。
「ここだから」
「御前の家か」
「どう?このお家」
「お寺や神社と違うな」
まずはこう言った利樹だった。
「どうも」
「それはそうよ、宗教が違うから」
「教会っていってもキリスト教のとも違うんだな」
「だから宗教が違うから」
陽菜の言葉は変わらなかった。
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