第一章
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親娘の写真
豊下利樹は難しい顔をしていた。
はっきりとした二重の目にきりっとした黒い眉、整った黒髪を右から左に流している。目鼻立ちも頬もすっきりと引き締まっていて白い肌である。背は一七六位だ。格好いい部類の顔だが彼は通っている高校のクラスメイトの岡村陽菜に彼等の教室の中でお互いの家族の話をしている時に陽菜の携帯から彼女の家族の写真を難しい顔になっていた。
そしてだ、陽菜の大きい口と白い歯、はっきりとした目で茶色をかけてポニーテールにした黒髪と制服からでもわかる見事なスタイルの容姿を見て言った。
「本当に親父さんか?」
「似てないっていうのね」
「ああ」
はっきりと答えた。
「どう見てもな」
「親子関係疑ってるでしょ」
「正直に言っていいんだな」
優子のその目立つ、可愛いと言っていい顔とスタイルを見てから写真の彼女と一緒にいる初老の優しい顔立ちの細面のおじさんを見て言うのだった、髪の毛は陽菜と同じ色だが髪の毛の質は細くもうすぐ薄くなりそうな感じである。全体的に極めて優しそうだ。
「御前お袋さんそっくりだろ」
「今度はそう言うのね」
「親父さんに似てないな」
つくづくとだ、利樹はまた言った。
「本当に」
「けれどね」
「それでもか」
「そうよ、私もお姉ちゃんも妹もね」
「三人姉妹か?」
「八人兄弟で私は三番目の女の子なのよ」
そうだというのだ。
「兄弟の中で五番目、上から兄姉姉兄私妹弟妹よ」
「多いな、おい」
「家が天理教の教会だとこれ位はいたりするわよ」
「天理教って子沢山か」
「まあ私のところは多い方だけれど」
その天理教の教会の中でもというのだ。
「三人四人五人って普通にいるのよ」
「少子化に優しいな」
「そうでしょ、それで私はね」
「五番目でか」
「お父さんに可愛がってもらってたの」
そうだったというのだ。
「今もね」
「こうして一緒の写真もある位か」
「お父さんの携帯には八人それぞれのがあるのよ」
八人の子供達全員とのツーショット写真がというのだ。
「凄いでしょ」
「子煩悩なお父さんだな」
「立派でしょ」
陽菜は胸を張って微笑んで言った。
「いいお父さんでしょ」
「そうだな、しかしな」
「それでもっていうのね」
「御前本当に似てないな」
写真のそのお父さんを見てだ、利樹はまたこう言った。
「俺以外からも言われてるだろ」
「まあそれはね」
バツの悪い顔でだ、陽菜も答えた。
「教会に来てくれる天理教の教会の人からも信者さんからもね」
「やっぱりそうか」
「色々言われるわ」
「お母さん似って言われるだろ」
「女の子は全員ね」
「正直言って御前顔とスタイルはな」
陽菜本人にあえて言っ
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