第二章
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「お安くしておきますし」
「どんどんです」
「買っていて下さい」
「そして吸って下さい」
「煙草はどれだけでもありますよ」
「わかった、では買おう」
こうしてだ、侍は煙草と煙管を買って行った。そうして。
侍を見送ってからだ、悪魔達は首を傾げさせて話をした。
「何かあのお侍おかしいな」
「そうだな」
「何かな」
「妙な感じだな」
悪魔達はお互いに話をした。
「本当にな」
「何か焦っていなかったか?」
「そんな感じだったな」
「火薬に火を点ける様な」
「そしてその火を何とか消そうというな」
「そうした感じだったな」
こう話すのだった。
「妙な感じだった」
「煙草が売れたのはいいことにしても」
「どういうことだ?」
「何なんだあのお侍」
「気になるな」
「全くだ」
お互いに話す、しかしだ。
ガギエルはマミエルにだ、とりあえずこのことはこれ以上考えても仕方なくてだ。こう言った。
「とりあえず飯にするか?」
「ああ、昼だしな」
「この国でも三食食うな」
「そうなったみたいだな」
「何か前は朝夕二食だけだったらしが」
「三食になったみたいだな」
悪魔達はこのこともわかってきた。
「それで昼になったからだな」
「ああ、飯にしよう」
「よし、じゃあ食おうな」
「飯をな」
二人で話してだ、そうしてだった。
悪魔達は麦飯を焼いた魚や野菜の漬けもの、簡単な汁もので食べた。そして食べながら笑っていた。
「いやあ、美味いな」
「ああ、大坂の魚はな」
「昆布を入れた汁ものもな」
「実に美味いな」
「日本の飯は美味い」
麦飯も食べつつ言うのだった。
「あっちのパンとはまた違ってな」
「こちらも美味いぞ」
「米がこんなに美味いとはな」
「面白いわ、主食が米とはな」
「明もそうだが日本もそうでな」
「こちらもいいな」
食べるものには素直に舌鼓を打っていた、悪魔達はこの国の人間の姿と服のままだ。楽しく食べていた。そしてだった。
昼も煙草を売っていった、彼等の煙草を広めて日本人の健康を損ねる思惑は順調に進んでいた。彼等はこのことに手応えを感じていたが。
ここでだ、彼等は城の話を聞いた。そして目の前にある西洋の何処にもないような高い黒と金色の店主を中心とした城壁と堀、無数の門と矢倉で何重にも守られた巨大な城を見た。
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