SIDE:A
第十三話
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ヒアシさんの言葉に頷き修練場へ向かうとそこでは既に誰かが使用しているようで、中から威勢の良い声が聞こえてきた。
戸を開いて中を見てみると、そこにはヒアシさんとそっくりな人と髪の長い男の子が組み手を行っている。
「抜き足が遅いっ!」
「はいっ」
ヒアシさんの弟、ヒザシさんとその息子のネジだ。丁度稽古をしているようだな。
ヒザシさんは入室してきた俺たちに気がつくと稽古を一旦中止し、四十五度の角度で丁寧にお辞儀してきた。
「これは兄上にヒナタ様、ハナビ様。若様に汐音様、九尾殿まで。……お久しゅうございます、若様」
「お久しぶりです。元気でしたか?」
「はい。若様のおかげで毎日壮健に過ごせております」
馬鹿丁寧に頭を下げてくるヒザシさん。大の大人がいちいち頭を下げなくてもとは思うが、日向の闇を取っ払った俺に恩義を感じているらしく、いつまで経っても態度を改めないからもう諦めた。
タオルで汗を拭いている二つ年下の男の子――ネジに声を掛ける。ネジとは稽古で日向家に通っていた時に知り合い、親しくさせてもらっている。
「ようネジ。調子はどうだい?」
「上々、といったところだな。だが、まだまだだ」
クールに笑う少年。そういえばネジってアカデミー時代、結構モテてたって聞いたなぁ。
「そういえばハルト。君も今年からヒナタ様と同じくアカデミーに通っているのだろう? どうだ、アカデミーは」
「楽しいよ。あまり皆と接する機会や時間もなかったからな」
「そうか。まあハルトなら問題ないだろう。早くここまで上がってこい」
「応よっ」
その信頼はどこから来ているのか一度聞いてみたい。
ネシはリーと同期だったため、一足先にアカデミーに入学している。向こうでは先輩だな。早く追いついて来いと言うネジに頷き返した。
さて、ヒアシさんと久々の稽古だ。ネジとヒザシはどうやら俺たちの組み手を見学するようで離れた位置に移動した。日向たちはとっくに壁際に移動し観戦モードだ。
距離を取り向かい合う。ヒアシさんとは何度も組み手を交わしたから、互いに実力をよく知っている。しかし俺はガイ師匠にも師事しているからこちらの成長っぷりを知らないだろう。だからといって油断できる相手じゃないけどな!
「じゃあ、行きますよっ」
「うむ、来なさい」
白眼の状態で構えを取るヒアシさん。俺は半身の姿勢で腰を落とし後ろ足に重心を掛け、左手の掌を前方に、右手の掌を上にした状態で引いた構え。空手で言うところの後屈立ち手刀構えに似た姿勢だ。
――よしっ! 先手必勝
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