SIDE:A
第十三話
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ようだったから、彼に俺個人の思いをぶつけた。同じ日向の人間なんだから仲良くしようと。分家も宗家もない、日向っていう一つの家なのだからと。部外者であるのを良いことに言いたい放題。
俺自身、青臭い言葉を吐いているという自覚はあったし、長年の溝がこれしきのことで埋まるとは思っていなかった。しかし、なにがどう転んだのか、宗家と分家の溝を埋めてもっと仲良くしようよと語っていたら、段々自分自身ノッてきてしまい、いつしかどこの修造だと言いたくなるくらい熱い言葉を吐いていたのだった。
ヒアシさんは諦観の姿勢で首を振っても――。
『諦めんなよ、諦めんなよ! どうしてそこでやめるんだ、そこで!! もう少し頑張ってみろよ! ダメダメダメ、諦めたら! 諦めたらそこで終わるんだよ!』
大分失礼なことを言ったと思う。
しかし、いつしかこの熱意がヒアシさんに伝わったようで、俺が何かを言うたびに段々と前向きな考えに変わっていったのだ。
そして、勢いに乗った俺は他の宗家の人にも「この熱い思いよ届けッ!」とばかりに熱血トークをぶちかましていく。多分、皆見ようとしないだけで問題意識はあったのだと思う。しかし、俺の――いや、修造の情熱が問題を直視する勇気を与え、いつしか多くの宗家の人が一体となってこの問題を解決し、分家も宗家もない新たな日向に生まれ変わるのだと心を一つにした。
もうこの時の俺はうずまきハルトという少年ではなく、修造だったと思う。間違いなく、俺が修造だった。それを象徴するものとして【日向家改革計画】に反対する人物の中で発言権のある人とのやり取りを紹介しようと思う。
宗家だけが生まれ変わるんじゃダメだ。分家も新たに生まれ変わらなくてはいけないんだ! そう感じた俺は分家の方にも突撃。ヒザシさんや分家のトップに【日向家改革計画】なるものを説明し、新たに生まれ変わろうと胸の中に灯した炎をそのまま言葉に乗せて伝えた。
宗家と分家とでは若干温度差があり、これまでの扱いからか分家の大多数が宗家の人間を恨んでいる。それを知った俺はこのままじゃ伝わらない、変えられないと感じ、ある策に出た。
俺の熱い思いが伝わり【日向家改革計画】に賛成する宗家の人間を集め、反対派の人たちを説き伏せに行ったのだ。分家の人にもこの時のやり取りを見てもらいたいと思い、ヒザシさんを初めとして分家のトップの人たちを何人か招いた。宗家の人たちが心変わりすることに半信半疑のヒザシさんたちだったが、日向家改革計に賛成する人の中に実の兄のヒアシさんの姿を見ると、驚愕の表情を浮かべていたのを良く覚えている。
そして、反対派の人たちとの口論が始まるのだが――。
『宗家も分家もない! 同じ日向の人間じゃな
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